TikTok発「Becoming Chinese」:中国で暮らすアフリカ若者に広がる生活習慣の変化
TikTokなどで広がる「Becoming Chinese(中国っぽくなってきた)」という投稿は、笑いネタに見えて、異文化の“取り入れ方”をめぐる新しい会話を生んでいます。中国本土で暮らすアフリカの若者たちは、この流れをどう受け止めているのでしょうか。
「Becoming Chinese」って何が流行っている?
温かい水を飲む、野菜は生より加熱、室内ではスリッパ――。SNSでよく見かけるのは、中国の暮らしの中で出会う“定番の習慣”を、日常に取り入れていく様子です。
このトレンドは、ハッシュタグ遊びや短い一言(例:『you met me at a very Chinese time of my life』)と一緒に投稿され、世界に広がっています。
「説明される伝統」から「自分で選ぶ習慣」へ
中国・アフリカの文化交流プラットフォーム創設者のヘザーさんは、この動きを「中国の経験や発信のされ方が変わってきたサイン」だと捉えます。
投稿が示しているのは、思想や立場を語るというより、暮らしの工夫として“使えるものを選ぶ”感覚です。ヘザーさんは、「伝統を“解説される”だけではなく、実際に触れて、合う部分を取り入れていく」点が魅力だと話します。
なぜアフリカの若者に響くのか:似ている価値観
ナイジェリア出身のコンテンツクリエイター、イベアカンマ・チナザエクペレ・ウゴチニエレさんは、文化の手触りが“すぐに分かった”と言います。中国が文化を大切にしていることは、伝統を重んじるアフリカの感覚とも重なりやすい、という見立てです。
具体例として挙がったのは、祭り、年長者への敬意、家族の結びつき、色の象徴性。たとえば中国の春節で印象的な赤は、彼女の部族の伝統衣装でも重要な色だといいます。
タンザニア出身のコンテンツクリエイター、アユブ・ダミアニ・テウェレさんは、価値観の共通点を日常会話に見ます。中国でよく交わされる「ご飯食べた?」という挨拶は、相手を気遣う合図。彼の文化でも、食は「ちゃんと暮らせているか」を確かめる方法だと話します。
さらに彼は、スワヒリ語の「Utu(他者への配慮を中心に置く考え方)」を引き合いに出し、アフリカの人間観(Ubuntuにも近い)と、中国で感じる“周囲を考える”雰囲気がつながって見える、と述べました。
トレンドが「自分の生活」になる瞬間
3人の話で印象的なのは、流行が「投稿のネタ」で終わらず、生活のリズムそのものに入り込んでいる点です。
- イベアカンマさんは「中国語を毎日話すようになり、英語の方が詰まることがある」と振り返ります。
- 生活面でも「早寝」「時間通りに食べる」「夜7時以降は食べない」などが習慣化し、いまでは“ただの自分の生活”になったと言います。
- アユブさんは帰省した際、箸を毎日使っていたことに気づき、自分でも驚いたそうです。加えて「遅刻が本当に嫌になった」と、時間感覚の変化も語っています。
「語られてきたイメージ」を塗り替える発信
イベアカンマさんが強調するのは、発信の動機が“自己演出”だけではないことです。彼女は「中国やアフリカは、メディアで一つの角度から描かれてきた」と感じ、渡航前には中国に対して否定的な話も多く聞いたといいます。
そこで彼女は、日常の積み重ねを物語として届けることで、「中国の話、アフリカの話、そして中国・アフリカの話」を同時に見せたいと語りました。誤解と現実の間にある“空白”を、個人の視点で埋めていく試みとも言えます。
「押しつけない」からこそ広がる、という見方
アユブさんは、中国文化の広がりやすさを「極端ではない」「自分の文化を捨てさせない」と表現しました。日常の所作として実践でき、学んで、体感して、共有できる。だからこそSNSの短い動画とも相性がいい、という見立てです。
2026年「中国・アフリカ人的交流年」と、若者の役割
そして2026年は「中国・アフリカ人的交流年」と位置づけられている中で、3人は共通して「若者が橋になる」と語ります。合意文書や制度も大切ですが、日々の学び・仕事・発信の中で生まれる信頼は、もっと生活に近い場所から育つ――そんな感覚がにじみます。
「Becoming Chinese」という軽やかな言葉の裏側には、移動し、暮らし、言葉を覚え、誤解をほどくという地道な時間があります。トレンドを追うだけでなく、“なぜそれがしっくりくるのか”に耳を澄ますと、国際ニュースの見え方も少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








