中国、子宮頸がん排除へ加速:HPVワクチンを2025年から定期接種に
2026年1月は「子宮頸がん啓発月間」。世界保健機関(WHO)が“予防可能な病気の排除”に向けて行動加速を呼びかける中、中国ではHPVワクチン、検診、標準治療を組み合わせた対策が制度面でも大きく動いています。
子宮頸がんは「予防できるがん」──それでも負担は重い
子宮頸がんは、主にヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染が原因で、ワクチン接種や検診、早期治療によって予防・治療が可能とされています。一方で、世界では女性のがんの中で4番目に多いとされ、いまも主要な健康課題です。
中国では人口規模の大きさもあり負担が重く、公開データによると、2022年に推計15万1,000件の新規診断、約5万6,000人が死亡。世界全体の症例の約5分の1を占めたとされます。
中国が築く「防御システム」:ワクチン・検診・標準治療
中国では近年、子宮頸がん対策として、次の3つを柱にした“防御システム”の整備が進められているといいます。
- HPVワクチン接種
- 早期発見のための検診
- 標準化された治療
国立がんセンター/中国医学科学院がん病院でがん疫学を担う趙芳輝(Zhao Fanghui)教授は、1990年代後半から子宮頸がんの予防と研究に携わり、約30年の取り組みの中で制度と現場の変化を見てきたとされています。
ワクチンの転機:2019年の国産化、そして2025年11月の制度化
高コストと供給制約が続いた時期
HPVワクチンは高い有効性が知られる一方、輸入ワクチン中心だった時期には価格の高さや供給の限界が壁となり、十分に接種が広がりにくい状況がありました。
国産HPVワクチンの登場(2019年)
大きな節目として挙げられるのが、2019年に中国で初の国産HPVワクチンが開発されたことです。これにより中国は、HPVワクチンを独自に製造できる「3番目の国」になったとされています。ただし、地域差も大きい広大な国土で、対象者にどう行き渡らせるかは引き続き課題でした。
科学的評価を経て、定期接種へ(2025年11月)
趙教授は、中国の状況に合わせた医療経済評価や数理モデル研究を行い、接種戦略や価格設計など政策判断を支える根拠づくりに取り組んだといいます。こうした評価やパイロット事業を経て、2025年11月にHPVワクチン接種が国家免疫プログラムに正式に組み込まれました。
制度の内容としては、2011年11月10日以降に生まれた女子が、13歳で2価HPVワクチンを無料接種できる対象になったとされています(導入時点の枠組み)。
WHOも評価:「女性の健康にとって大きな前進」
WHOの中国代表であるマーティン・テイラー氏は、この動きを中国の女性の健康にとって大きな突破口であり、世界の子宮頸がん排除に向けた取り組みを力強く後押しするものだと述べたとされています。
制度化が示すもの:排除に必要なのは“組み合わせ”
子宮頸がんは、ワクチンだけで完結する話ではなく、検診と治療が噛み合って初めて、予防可能性が社会全体の成果につながります。中国が「ワクチン・検診・標準治療」をセットで整えている点は、人口規模が大きい国ほど問われる“実装の設計”を浮かび上がらせます。
2026年の啓発月間は、制度の導入がゴールではなく、現場に浸透し、継続して効果を積み上げられるかが次の焦点になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








