中国本土、太陽—地球L5へ「羲和2号」 2028〜29年打ち上げ計画
中国本土が、太陽活動を“より早く”捉えるための新たな観測拠点として、太陽—地球系のラグランジュ点L5に初の人工探査機を送り込む計画を示しました。宇宙天気(太陽活動が通信・衛星・電力網などに与える影響)の監視を、最大で4〜5日早められる可能性があるとして注目されています。
何が発表されたのか:L5を狙う太陽探査衛星「羲和2号」
中国メディアグループは2026年1月31日、太陽探査衛星「羲和2号(Xihe-2)」を2028〜2029年に打ち上げ、太陽—地球系の第5ラグランジュ点(L5)へ投入する計画だと伝えました。
「羲和2号」は「ラグランジュV太陽観測所(Lagrange-V Solar Observatory)」の宇宙ミッションとして位置づけられ、南京大学、中国気象局、上海航天技術研究院が提案したとされています。
L5とは何か:太陽活動を“横から”見られる重力のつり合い点
L5は、地球から約1億5000万キロメートル離れた重力の平衡点の一つです。ここは、太陽と地球の位置関係に対して特徴的な角度を保ちやすく、宇宙天気の研究・監視に利点があると説明されています。
中国科学院・国家天文台の太陽物理学者、王景修(Wang Jingxiu)氏は、この観測位置から危険度の高い宇宙天気事象(太陽フレアなど)を含む太陽活動を4〜5日早く予測でき、地上の緊急対応に向けた準備時間を広げられる可能性があると述べています。
「何を見る」のか:磁場の精密観測と“3次元の噴出現象”
衛星設計者の一人である南京大学の方成(Fang Cheng)教授によると、「羲和2号」は次のような目的を担います。
- 磁場の高精度観測
- 太陽噴出現象の3次元的な把握
- 宇宙活動(スペースアクティビティ)の予測
磁場は太陽活動の“起点”の一つとされるため、どの程度の精度と頻度で捉えられるかが、宇宙天気予測の実用性を左右しそうです。
「世界初のL5人工探査機」になる見込み、運用は最長7年
南京大学教授で「羲和」科学・応用システムの総設計者だという李川(Li Chuan)氏は、これまで世界で70機以上の太陽探査機が打ち上げられてきた一方、L5に配置された例はないと説明しています。計画どおり実現すれば、「羲和2号」はL5に送られる世界初の人工探査機になる見通しです。
また、重力の平衡点に到達した後は、軌道の安定維持に必要なエネルギーが相対的に少なくて済むとされ、設計上の運用寿命は最長7年とされています。
前身「羲和」(2021年)から何が変わる?
中国本土は2021年10月14日、初の太陽探査衛星「羲和(Xihe)」を山西省の太原衛星発射センターから打ち上げました。こちらは高度571キロメートルの軌道で、太陽のHα(エイチアルファ)分光撮像を行うミッションでした。
今回の「羲和2号」は、地球周回軌道ではなくL5という“遠方の定点”を狙う点が大きな違いです。観測の角度と時間的な余裕(早期予測)をどう確保するかが、ミッションの価値を形づくることになりそうです。
今後の見通し:2028〜2029年の打ち上げ計画
現時点で示されている骨子は次の通りです。
- 打ち上げ時期:2028〜2029年(計画)
- 目標地点:太陽—地球系ラグランジュ点L5
- 主目的:太陽活動の観測と宇宙天気監視(早期予測)
- 設計寿命:最長7年
通信・測位・衛星運用が社会インフラ化するほど、宇宙天気の“数日先読み”は現実的な価値を持ちます。L5という新しい観測ポジションが、予測精度と運用の意思決定をどこまで変えるのか。2028〜2029年に向けた進捗が注目されます。
なお「羲和」は古代中国神話に登場する太陽の女神の名とされています。
Reference(s):
China to launch first-ever solar probe at Sun-Earth L5 point
cgtn.com








