中国×ウルグアイのグリーン連携、電気バスとEVが街を変える
ウルグアイの首都モンテビデオで今、ディーゼルのエンジン音が静かに薄れ、電気バスの走行音が日常になりつつあります。中国本土のメーカー各社による電動モビリティの広がりは、同国の再生可能エネルギー政策と結びつき、移動の風景そのものを塗り替え始めています。
モンテビデオで進む「静かな交通革命」
市内では、BYD、Higer、Yutongなど中国メーカーのロゴを付けた電気バスが存在感を増しています。変化は公共交通だけにとどまらず、中国メーカーの新エネルギー車(NEV:電気自動車などの電動車両)が一般の道路にも増え、ウルグアイの自動車市場の構図を動かしています。
数字が示す勢い:2025年、新車の「3台に1台」が中国NEV
ウルグアイ自動車貿易協会(ACAU)のマネジャー、イグナシオ・パス氏によると、2025年にウルグアイで販売された新車(乗用車)のうち、3台に1台が中国メーカーのNEVでした。パス氏は「中国の新エネルギー車はウルグアイの消費者にますます好まれている」と述べています。
この需要は市場全体にも波及し、車両販売は2025年に約8%増の7万1,442台に。BYD、Dongfeng、JMC、Jianghuai、MGなどのブランドが拡大したとされています。
店頭の実感:「次に買うなら中国ブランドが優先」
モンテビデオのNEV販売店を訪れた購入検討者は、「新エネルギー車を買うなら中国ブランドが優先。デザインが未来的で、スクリーンや座席などの装備が同価格帯のガソリン車より良い」と話し、価格と装備のバランスが支持の背景にあることをうかがわせます。
普及を支える2つの土台:クリーン電力と政策インセンティブ
NEVブームの背景として挙げられるのが、ウルグアイの電力事情です。政府データによれば、同国の電力は97%以上が再生可能エネルギー(主に風力と水力)で賄われています。電動化のメリットが「電源のクリーンさ」と一体になりやすい環境だと言えます。
- 電力がクリーン:電気で走るほど排出削減につながりやすい
- 電力が安定:充電インフラの拡大を計画しやすい
政策面でも後押しがあります。ウルグアイ政府は2025年、NEV普及を加速するため、輸入関税、登録税、公害税などの軽減・免除を含む一連の優遇策を導入しました。
充電網は「50kmごと」構想
国有電力会社UTEは充電インフラ整備も進めており、主要高速道路でおよそ50km間隔で充電ステーションを設置することを目標にしています。都市部の利便性だけでなく、長距離移動の不安を減らす狙いが読み取れます。
家計のリアル:配車ドライバーが語る「月350ドル→100ドル」
経済性は、普及のいちばん分かりやすい推進力です。モンテビデオで配車サービスのドライバーとして働くミゲル氏は、燃料代(電気代)の差をこう比較しました。
「ガソリン車のときは月に約1万4,000ウルグアイ・ペソ(約350ドル)を燃料に使っていた。いま電気自動車では月の電気代が約4,000ペソ(約100ドル)だ」
初期費用や充電環境など課題は残るものの、走行コストの実感は、購入の意思決定を静かに押します。
公共交通でも進む電動化:すでに200台超が稼働
中国ブランドの電気バスは、すでにウルグアイ国内で200台以上が稼働しているとされ、複数都市の「脱炭素型の都市交通」を支える存在になっています。
まだ1.5%でも、伸びしろは大きい
一方で、NEVが道路上の車両全体に占める比率は約1.5%にとどまるとされます。だからこそ、充電網、税制、車種の多様化が噛み合えば、伸びは加速しやすい局面です。パス氏は「2025年は力強いスタート。より多くの中国自動車ブランドが参入し、消費者に“より多く、より良い選択肢”が提供される」と見通しを述べています。
きょう2月1日、オルシ大統領が訪中へ——モビリティから太陽光まで
こうした実務協力の積み重ねは、より上位の戦略的な連携にもつながり得ます。ウルグアイのヤマンドゥ・オルシ大統領は、就任後初となる中国訪問を2026年2月1日(きょう)から開始する予定とされています。
オルシ大統領は、ウルグアイの「グリーンな電力構成」と中国の技術力の相乗効果に言及し、「中国ブランドの新エネルギー車はウルグアイの消費者に歓迎され、太陽光パネルなど他の新エネルギー製品も市場でよく売れている」と述べました。さらに「再生可能エネルギーが97%以上で、次の焦点は太陽光(PV)。PV技術で世界をリードする中国とは協力の余地が大きい」との考えも示しています。
また、マリオ・ルベトキン外相も2025年11月のインタビューで、クリーンエネルギーへの取り組みを強調し、新技術の応用やグリーン産業チェーンの拡大を含む協力への意欲を語りました。
関係の現在地:1988年の国交樹立から、2023年の包括的戦略パートナーシップへ
中国とウルグアイは1988年に国交を樹立し、2023年11月に関係を「包括的戦略パートナーシップ」へ格上げしました。いまモンテビデオを走る電気バスや、普及が進むNEVは、その関係が「実際の暮らしの手触り」に落ちてきた象徴とも言えます。
交通の電動化は、車両の話に見えて、電力、都市設計、産業政策、消費者体験が交差するテーマです。ウルグアイの再エネ基盤と、中国メーカーの電動技術がどこまで連動していくのか。2026年の両国関係を読み解く、ひとつの分かりやすい入口になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








