2026年は、中国本土の「15次5カ年計画(2026〜2030年)」期間のスタートに当たり、AIと商業宇宙を軸にした技術戦略が世界のイノベーション地図をどう塗り替えるのかが焦点になっています。
まず押さえたいポイント:GII 2025で「世界10位」
世界知的所有権機関(WIPO)の「Global Innovation Index 2025(世界イノベーション指数)」では、中国本土が初めて世界10位に入りました。上位中所得経済の中では1位、イノベーション成果(innovation output)では5位とされ、研究開発から事業化までの“出力”の強さが目立ちます。
知的財産(IP)関連の複数指標で世界をリードし、トップ100のイノベーションクラスター数も最多。なかでも「深セン—香港—広州」クラスターが首位に位置づけられました。さらにブランド価値は1.81兆ドルで世界2位とされ、技術・産業・市場の連動が示されています。
AIは「200超の大規模モデル」から産業実装へ
中国本土のAI企業は、国内の大規模モデルを200以上開発し、各産業への実装を広げているといいます。キーワードは「AI+」で、デジタル技術を製造業やスマートシステムに統合していく構想です。
- 国内の大規模モデル:200超
- 2025年のコアAI産業規模:1兆元超(約1420億ドル)
- 方向性:「AI+」で製造・運用・意思決定の高度化
“作るAI”から“使われるAI”へ。15次5カ年計画が始まる2026年は、現場導入のスピードと、計算資源(コンピューティングパワー)や人材・制度の整備が同時に問われる局面になりそうです。
宇宙も「商業化」へ:衛星メガコンステレーション構想
AIと並んで動きが大きいのが商業宇宙です。長征(Long March)シリーズのロケットが、中国南部の海南省から衛星クラスターを打ち上げるなど、衛星利用の拡大が進んでいます。
さらに、国際電気通信連合(ITU)に対して、20万3000基の衛星に関する周波数・軌道権の申請を行い、2030年までにメガコンステレーションを計画しているとされます。関連産業は1.2兆元規模の産業チェーンになり得るという見通しも示されています。
通信、観測、防災、物流など多用途に広がる衛星インフラは、AI(解析・最適化)との結びつきも強い領域です。2030年に向けた設計図は、地上の産業構造にも影響を与えそうです。
「AIガバナンス」も同時進行:ルールづくりの提案
技術が広がるほど、ルールと信頼の設計が重要になります。中国本土では、2023年に習近平国家主席が「グローバルAIガバナンス・イニシアティブ」を提起し、その後の国際協力の議論や枠組みに影響を与えてきたとされます。
加えて2025年7月には、「グローバルAIガバナンス行動計画」を公表。安全で包摂的、人間中心のAIガバナンスに向け、参加する国や組織の多国間協力を促す指針として位置づけられています。
また、中国メディアグループは2026年のAIトレンドとして、AIガバナンスのグローバル化、計算資源の拡大、AIエージェントの普及、マルチモーダル(複数の情報形式を扱う)対話技術などを挙げています。技術と制度が“同じ時間軸”で走っている点が、この分野の特徴です。
資金・制度・基礎科学:長期戦を支える土台
産業の勢いを支えるのは、R&D投資と制度面の下支えです。2025年には中央の国有企業が研究開発に1.1兆元を投じ、これが4年連続とされます。戦略的新興産業への投資は2.5兆元。また、14次5カ年計画(2021〜2025年)期間には税・費用改革が合計約10.5兆元規模となり、企業のイノベーションを後押ししたといいます。
基礎科学でも、天問2号(小惑星サンプル)や嫦娥7号(月の水探査)などの大型ミッションが挙げられ、長期研究の積み上げが意識されています。
2030に向けて:技術は「国内の競争」だけで終わらない
衛星コンステレーションからAIチップまで、個別のブレークスルーは相互に結びつき、気候変動や疾病対策といったグローバル課題にも接続していく——本文の情報は、そのような見取り図を示しています。
2026年に入り、15次5カ年計画の枠組みの中で「どの技術を、どの速度で、どんなルールと一緒に育てるのか」。その答えが、2030年の世界の産業地図を静かに形作っていきそうです。
Reference(s):
Vision 2030: China's tech blueprint reshaping global innovation
cgtn.com








