上海の旗袍を「敦煌壁画」から読み解く——李英俊教授の視点 video poster
上海で広く知られるようになった旗袍(チーパオ)を、あえて敦煌から読み解く研究が注目を集めています。李英俊教授は、敦煌の壁画に描かれた衣の「線」を手がかりに、古代中国が身体・空間・動きをどう捉えていたのかを探っています。
なぜ「上海の旗袍」を敦煌で語るのか
旗袍は上海で隆盛したドレスとして語られがちです。一方で李教授は、研究の中心を敦煌に置き、地域の壁画に描かれた衣服表現から、より長い時間軸での衣服の考え方を掘り起こします。ポイントは、流れるような衣のラインが示す「身体の理解」と、その身体が置かれる「空間」、そして「動き」です。
壁画の「流れる線」が映す、身体・空間・動き
李教授が見ているのは、壁画の中で衣がただ“覆う”のではなく、身体の輪郭や重心、身振りに沿って「動きの気配」を描き出している点です。衣の線は装飾ではなく、身体が空間をどう通り抜け、どう立ち止まり、どう向きを変えるか——そうした動作の読み取りを可能にします。
- 身体:輪郭や姿勢、重心の置き方が衣の線に反映される
- 空間:人物の周囲の“余白”と衣の広がりが関係づけられる
- 動き:揺れ・たわみ・流れが、静止画の中に運動感を生む
その特徴は「中国の衣服の変化」の中で繰り返し現れる
李教授は、敦煌の壁画に見られるこうした特徴が、中国の服飾の進化の中で連続的に再登場してきたと捉えています。そして、その連続性は旗袍の構造設計にもはっきり表れているというのです。旗袍を「近代の都市の装い」としてだけでなく、より長い美意識と身体観の延長線上で捉える視点が浮かび上がります。
いま読み直す意味:服は「形」だけでなく「考え方」でもある
衣服は、素材や流行だけでなく、その社会が身体をどう理解し、どんな所作を美しいと感じてきたかを映します。上海で知られる旗袍を敦煌の壁画から眺める試みは、服を“デザイン”として見るのと同時に、“身体・空間・動きの思想”として読む入口にもなりそうです。
次に旗袍を見るとき、シルエットの美しさだけでなく、歩く・振り向く・立ち止まるといった動作が、どのように衣の線に組み込まれているのか。そんな視点が、静かに像を結びます。
Reference(s):
cgtn.com








