一枚布で身体に沿う——清華大・李英俊教授が読み解く旗袍の構造 video poster
清華大学の李英俊(リー・インジュン)教授が、満洲族の伝統衣装スタイルに由来する「旗袍(チーパオ)」の構造ロジックを掘り下げています。ポイントは、複雑な仕立てに頼らず「一枚の布」だけで身体に沿わせるという発想。伝統的なデザイン概念を、現代ファッションへどう接続できるのか——静かに示唆を投げかける内容です。
ニュースの要点:旗袍を「構造」で読み直す
- 李教授は、旗袍の成立を「裁断の巧みさ」だけでなく折り・構成(構造化)の論理として捉えます。
- 素材は基本的に一枚布。複雑なテーラリング(高度な仕立て技術)を前提にしないアプローチです。
- 旗袍は1900年代初頭の上海で広く人気を得たとされ、そこを起点に「長く続く設計思想の再解釈」を提示します。
「一枚布なのにフィットする」—鍵は折りと構成
一般に、服を身体に合わせる方法として思い浮かぶのは、複数のパーツを切り替えたり、立体的に縫い合わせたりする作り方です。今回の焦点はそれとは異なり、旗袍を折り込む、そして構造として組み上げることで、身体への追従性を生む点にあります。
言い換えると、フィット感を生むのは「細かな裁断の積み重ね」だけではない、という視点です。布の扱いそのものが設計であり、構造がシルエットを作る——その考え方が、現代の服作りにも持ち込める可能性が語られています。
上海で広まった旗袍、その“近代”の出発点
旗袍は、伝統を背景に持ちながらも、1900年代初頭の上海で人気を得たことで「都市の装い」としてのイメージも強めていきました。伝統衣装という枠にとどまらず、時代や生活様式の変化とともに受け止められ方が変わってきた——この歴史の流れが、再解釈の説得力を支えています。
現代ファッションへの接続:古い概念を“そのまま使わない”
李教授が示すのは、過去の意匠を復刻することではなく、長く確立されてきたデザイン概念を読み替え、現代の服へ統合するという方向性です。たとえば次のような問いが立ち上がります。
- 「作り方(プロセス)」をデザインの中心に置くと、服の見え方はどう変わるのか
- 裁断の複雑さではなく、布の折りや構成で立体を作ると何が起きるのか
- 伝統を参照しながらも、現代の生活感覚に合う形へどう翻訳できるのか
2026年のいま、ファッションは見た目だけでなく、制作プロセスや思想そのものが語られる場面も増えています。旗袍の構造を起点にした今回の視点は、服を「表層のスタイル」ではなく「構造の言語」として捉え直すきっかけになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








