神舟21号、滞在3か月超も実験と保守を継続 宇宙医学から設備点検まで
中国の宇宙ステーションで任務に就く「神舟21号」乗組員が、滞在3か月を超えた現在(2026年2月時点)も、科学実験と設備メンテナンスを計画的に進めています。長期滞在が人体と機器の両方に与える影響を見極める作業が、日々積み重ねられている点が注目されます。
今週のポイント:実験・運用・整備・健康管理を“同時進行”
神舟21号のクルーは、指令長の張陸(Zhang Lu)氏と、宇宙飛行士の呉飛(Wu Fei)氏、張洪章(Zhang Hongzhang)氏の3人。直近1週間も、科学実験、プラットフォーム運用、機器保守、健康管理を秩序立てて実施しました。
宇宙医学:血液サンプルで「長期滞在の影響」を追う
宇宙医学分野では、骨代謝の相互作用や、宇宙飛行に関する統合オミクス(遺伝子・タンパク質などを包括的に解析する手法)研究のため、血液サンプルの採取・処理を行いました。
回収されるサンプルは、長期ミッションが骨格系、神経系、脳血管系に与える影響や、人体が環境に適応していく仕組み(生理的適応メカニズム)の解明に役立てられるとしています。
視覚と認知:微小重力が「見え方の偏り」に与える影響
クルーはノートPCを用い、微小重力(重力がほぼない状態)で、上方視野と下方視野の非対称性がどう変化するか、その認知・神経メカニズムを調べる実験も進めました。長期滞在での作業効率や安全性に関わり得るテーマとして、継続的なデータの蓄積が期待されます。
微小重力の物理実験:装置を“使い続ける”ための手入れも重要に
微小重力環境を活用した物理科学実験も、計画に沿って実施されました。作業は「実験そのもの」だけでなく、装置性能を保つための整備が大きな比重を占めます。
- 無容器実験チャンバー(容器を使わず試料を扱う装置)でのサンプル後片付け
- 軸方向機構の電極メンテナンス
- 観測窓レンズの清掃
- 流体力学実験モジュールの分解・再組立て、サンプル交換
環境モニタリングと日常保守:熱・空気・作業キャビネットを点検
宇宙ステーション内部の環境監視と機器の維持管理として、露点計などの機器で熱環境を確認し、空気の清浄度テストも行いました。あわせて、軌道上メンテナンス用の作業キャビネットを点検し、科学グローブボックスの手袋交換、物資の整理、船内の清掃など、日常的な保守も実施しています。
健康管理:運動負荷の工夫と、目の検査を含むメディカルチェック
健康管理では、微小重力下でもトレーニング効果を確保するため、下肢の屈筋群に力刺激を与える専用の粘着デバイスを用いながら運動を実施しました。
さらに、眼圧・眼底検査、総合的な視機能評価、経眼窩Bモード超音波測定など、複数の医療検査を行っています。長期滞在では、体調管理が科学成果と安全運用の前提になることを、淡々と示す動きともいえます。
積み重なる「地味な仕事」が、長期滞在の土台になる
今回の報告は、派手な成果発表というより、実験・保守・健康管理を同時に回し続ける“運用の現場”そのものです。長期ミッションでは、サンプル採取や測定だけでなく、レンズ清掃や手袋交換のような細部が、次のデータ品質と安全性に直結します。宇宙ステーション運用が「研究室であり、生活空間でもある」現実を、改めて感じさせます。
Reference(s):
Three months in, Shenzhou-21 crew continue experiments, do maintenance
cgtn.com








