中国本土の「深海宇宙ステーション」TBM、海底トンネルで75m加圧作業に成功
中国本土で進む寧波―舟山鉄道の金塘海底トンネル工事で、加圧環境下の作業を支える自社開発システム「深海宇宙ステーション」が初の75メートル深度での介入作業を完了し、海底インフラ建設の安全性と効率の両立に注目が集まっています。
「深海宇宙ステーション」とは何か
今回投入されたのは、金塘海底トンネルの建設で使用されている飽和加圧式(サチュレーション)のシールド掘進機(TBM:トンネル掘削機)向けシステムで、現場では「深海宇宙ステーション」と呼ばれています。海底付近の地盤は水圧の影響が大きく、掘削中の機械内部を加圧してバランスを取りながら進むため、メンテナンスや部品交換も“高圧環境”で行う必要が出てきます。
2月6日、寧波側で「75m・22日連続」の初運用
発表によると、2月6日、寧波側でこのシステムが深度75メートルでの「高圧TBM介入(加圧下で機内に入り点検・交換する作業)」を初めて完了しました。運用は22日間連続で行われ、カッター(掘削刃)46個を交換したとされています。
今回のポイント(数字で整理)
- 介入深度:75m
- 連続稼働:22日
- 交換したカッター:46個
- 従来の「加圧介入の安全深度」目安:60m(今回、これを上回った)
なぜ「60mの壁」を超えることが意味を持つのか
海底トンネルの掘削では、地盤条件が厳しい区間ほど機械の摩耗が進みやすく、カッター交換などの保守作業が工程を左右します。一方で、加圧環境下の作業は人にも機械にも負荷が大きく、深度が増すほど難度が上がります。今回、従来の安全深度とされてきた60メートルを超えて運用したことは、今後の海底区間での保守の選択肢を広げる可能性があります。
「宇宙ステーション」という呼び名が示すもの
正式名称ではなく現場の通称ではありますが、「深海宇宙ステーション」という言い回しは、外部と隔てられた高圧環境で、一定期間の作業と生活・安全管理を成り立たせるという発想を連想させます。深海と宇宙は条件こそ異なるものの、いずれも“人がそのままでは活動しにくい環境”である点は共通します。海底インフラの現場では、こうした比喩が技術の方向性(安全・持続・精密)を分かりやすく伝える役割も担います。
今後の見どころ:工期短縮より「止めない保守」へ
今回の情報から読み取れるのは、単なる掘削スピード競争というより、止めにくい区間で、必要な保守を計画的に実行できるかというテーマです。海底トンネルの建設は、遅延が起きた際のリカバリーが難しい一方、安全側に振り切ると工程が長期化しやすい分野でもあります。高圧介入の運用範囲が広がれば、現場の判断は「止める/止めない」の二択から、より細かな選択へ近づくのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








