『Civilization』研究者が提案する“グリーンな4X”――成長至上主義から持続可能性へ video poster
資源を取り尽くし、拡大し続けるほど強くなる――そんな“おなじみの勝ち筋”に、いまゲーム研究者が静かな問いを投げかけています。清華大学・新聞伝播学院の博士研究員(ポスドク)である黄茂(Huang Mao)氏は、2026年の国際会議で、人気ストラテジー『Civilization』に代表される4Xゲームが「持続可能性」をめぐる感覚をどう変えつつあるかを語りました。
小学生のころに始めた帝国づくりが、研究テーマになった
黄氏が『Civilization III』を初めて遊んだのは小学6年生のとき。それから20年以上、ゲームの中で国家を築き、拡大し、競争してきた経験が、いまは研究者としての視点と重なっています。
2026年に開かれた「エネルギー経済の持続可能な発展」に関する国際会議で、黄氏はゲーム体験を“世界の見方”として捉え直し、4Xゲーム(Explore, Expand, Exploit, Exterminate=探索・拡大・搾取・殲滅)が私たちの発想に与える影響を紹介しました。
4Xゲームに埋め込まれた「成長し続けるほど有利」という前提
黄氏が指摘するのは、従来型4Xゲームのルールが、絶え間ない成長を“合理的な正解”としてプレイヤーに促しやすい点です。典型的な『Civilization』の体験では、資源を確保し、生産力を高め、周囲より優位に立てないと遅れを取る――そんな圧力がゲームデザインとして働きます。
この構造は、植民地的な征服や終わりなき拡張を中心に据えた、古い開発観とも響き合うことがある、と黄氏は述べました。
「地球を壊さない勝ち方」へ――ゲーム側もプレイヤー側も変わる
一方で黄氏は、近年のゲームが別の価値観を織り込み始めている点にも注目します。CGTNのインタビューで黄氏は、『Civilization VI』の例として、マオリでのプレイが自然とのつながりを意識しやすい設計になっていることに触れました。
重要なのは、勝利条件や最適戦略が一枚岩ではなくなり、次のような問いがプレイの中に生まれやすくなることです。
- 「最大・最強」を目指すことが、本当に唯一の合理なのか
- 非効率な消耗戦的競争を続けることが、望ましい未来につながるのか
MODが示す“競争以外の物語”――協力して危機を生き延びる
黄氏によれば、開発者とプレイヤーの対話が進むなかで、焦点は「純粋な発展」から「持続可能性」へと少しずつ移っています。その象徴として挙げられたのが、プレイヤーが作るMOD(改変データ)です。
MODの中には、勝利を“他国に勝つこと”から切り替え、たとえば次のようなシナリオをゴールに置くものもあるといいます。
- 世界規模の大災害を、協力して乗り越える
- ゾンビ・アポカリプスのような危機で、生存を最優先する
ここでは、成長や支配の最適化ではなく、共通のリスクをどう扱うかが中心課題になります。競争の面白さを残しつつ、別の「勝ち」を設計できるのか――その試行錯誤が、遊びの現場で進んでいる形です。
いま私たちが見ているのは、ゲームの“ルール”の更新かもしれない
現実世界で「持続可能性」が重みを増す2026年、4Xゲームのような長時間プレイの体験が、価値判断のクセに影響する可能性は小さくありません。黄氏の話は、ゲームを「現実逃避」か「教育」かで二分するよりも、ルールが思考をどう導くかに目を向けるきっかけになります。
資源を集め、拡大し、勝ち抜く――その快感はそのままに、別のルールで別の未来を試せるのか。『Civilization』を遊ぶ手つきが変わるとき、私たちの“世界の見方”も、少しだけ更新されていくのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








