中国開発の南極車「スノーレパード」、南極内陸で走行1万km超を無故障で完了
中国が自国開発した南極用車両「スノーレパード(Snow Leopard)6×6」 が、南極内陸での極限環境テストを走行距離1万km超・故障ゼロで終えたと、中国の第42次南極観測隊が今週火曜日に明らかにしました。研究や輸送、緊急時の対応力を左右する「地上の足」が、現地運用に近い形で検証された点が注目されます。
何が起きたのか:昨年12月から今年2月上旬まで、内陸で実走テスト
観測隊によると、テストは2025年12月5日から2026年2月上旬にかけて実施されました。拠点となったのは中国の中山基地(Zhongshan Station)で、さらに南極内陸の「代表的な5つの地形」でも試験走行を行ったといいます。
走行中に直面した路面は、海氷、砂利、軟雪、硬雪、固い氷など。極地の移動で現実に起こり得る条件を、まとめて踏む設計になっていることがうかがえます。
「輸入の履帯車頼み」からの変化:速さとコストの壁
観測隊は、これまで南極内陸の移動が主に輸入の履帯(キャタピラ)車両に依存してきたと説明します。履帯車は悪路に強い一方で、
- 速度が出にくい
- 燃料消費が大きい
- 運用・保守コストが高い
といった課題があったとされています。今回の「スノーレパード」は、地上輸送の選択肢を増やし、観測・支援・救助の即応性を上げる狙いがある、という位置づけです。
性能の目安:軟雪28km/h、硬雪42km/h、固い氷で安定65km/h
現地試験の担当者・孫鵬(Sun Peng)氏の説明では、「スノーレパード」は路面に応じて次のような速度が出るといいます。
- 軟雪:時速28km
- 硬雪:時速42km
- 固い氷:時速65kmで安定走行
比較として、一般的な履帯車の速度は時速15km程度とされました。また燃料満タン時の航続距離は約700kmとしています。移動時間の短縮は、観測計画の柔軟性や天候リスクの回避にもつながり得るため、数字の意味は小さくありません。
極寒・低気圧・複雑地形をどう越えるのか:動力とタイヤ素材の技術
南極内陸では、低温だけでなく低気圧や風雪、視界不良などが同時に起きます。孫氏は、研究開発チームが動力システムとタイヤ素材に関する複数の重要技術で「突破」を実現したと述べています。詳細な仕様は示されていないものの、走行距離1万km超で故障ゼロという結果は、少なくとも現場要件を強く意識した設計・検証が行われたことを示します。
現場エピソード:視界約3mの雪中で12時間連続運用、往復263km
隊のリーダーである姚旭(Yao Xu)氏は、緊急輸送任務を振り返りました。雪で視界が約3mまで落ちた状況で、車両を12時間連続運用し、往復263kmを走破。重要機材の迅速な搬送を確保したといいます。
姚氏は、この任務が「悪天候で航空アクセスが不可能な中、地上輸送がこれまでにない速度に達した初めてのケースだった」と説明しています。空が使えない時ほど、地上の速度と信頼性が意味を持つ——極地ならではの現実が伝わる場面です。
第42次南極観測隊は2025年11月に出発、装備の実地検証が続く
中国の第42次南極観測隊は2025年11月1日に上海から出発しました。今回の遠征期間中、南極大陸では新しい装備や技術が段階的に投入・試験される計画だとされています。
極地の現場では「速いこと」だけでなく、「止まらないこと」「直せること」「燃料と整備の計画が立つこと」が、観測そのものの成否に直結します。今後、運用実績が積み上がるにつれ、地上モビリティの設計思想や補給のやり方まで、少しずつ変化が見えてくるのかもしれません。
Reference(s):
China's self-developed Antarctic vehicle travels over 10,000 km
cgtn.com








