紅楼夢の世界へ:正定県「栄国府」、若者と海外客を魅了 video poster
中国・正定県にある「栄国府(Rongguo Mansion)」が、古典小説『紅楼夢(Dream of the Red Chamber)』の世界観を“歩いて体験できる場所”として、2026年のいま改めて注目を集めています。40年以上前にテレビドラマ化の撮影用セットとして建てられた建物が、若いファンと海外からの来訪者を引き寄せる観光スポットへと姿を変えました。
出発点は「撮影セット」:40年以上前に建てられた栄国府
栄国府は、40年以上前に『紅楼夢』のテレビドラマ版のための撮影セットとして正定県に建設されました。清の時代の貴族邸宅を再現した構えが特徴で、物語の空気感を建築として立ち上げた“舞台装置”だったことが、いまの体験価値にもつながっています。
いまは「文学×建築」の体験型スポットに
現在の栄国府には、若い中国のファンが波のように訪れているとされます。物語の登場人物になりきった衣装で来場する人も多く、建物を背景に“作品世界に入る”感覚を楽しむ姿が見られるようです。
さらに、国際的な来訪者も増えており、「文学と建築が出会う場所」として関心が広がっています。物語を知っている人にとっては答え合わせの旅に、初めて触れる人にとっては入口となる――そんな二重の導線が、この場所の強みになっています。
キーワードは「China Chic(国潮)」:古典が“いまの感性”で読まれる
栄国府に人が集まる理由として語られるのが、「China Chic(国潮)」という潮流です。古典文学のイメージ、清代風の建築、衣装文化が一つの体験として結びつくことで、過去の物語が“いまのスタイル”で再編集されていきます。
- 物語(文学):登場人物や関係性が記憶を刺激する
- 空間(建築):歩くことで場面が立ち上がる
- 装い(衣装):鑑賞から参加へ、視点が切り替わる
読むだけだった作品が、場所と身体感覚を得て“共有できる体験”に変わる。栄国府が示しているのは、古典の延命ではなく、古典の更新のしかたなのかもしれません。
「セット」が「目的地」になるとき:文化体験のこれから
テレビドラマのために作られた空間が、時間を経て観光の目的地になる。そこには、映像作品が作る記憶が、街の風景や移動の動機にまで育っていくプロセスがあります。若い来訪者と海外の旅行者が同じ空間でそれぞれの“物語”を重ねる光景は、文化が国境を越えるときの静かな強さも感じさせます。
栄国府が賑わういま、問われているのは「古典をどう守るか」だけではなく、「古典をどう生きた体験として手渡すか」。その答えは、文学と建築のあいだに、もう生まれ始めているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








