中国本土で伸縮性マイクロ電極、BCIの安定計測に前進
脳と機械をつなぐBCI(ブレイン・コンピューター・インターフェース)の鍵を握るのは、脳内の微弱な信号を「長く、安定して」読み取れる電極です。中国本土の研究チームが、脳の動きに追従できる伸縮性のマイクロ電極を開発し、2026年2月5日に学術誌「Nature Electronics」で発表しました。
何が発表されたのか(2月5日 Nature Electronics掲載)
発表したのは、中国科学院脳科学・知能技術卓越創新センター(中国科学院脳科学研究所)北京(CIBR, Beijing)の上級研究員・方穎(Fang Ying)氏が率いる研究チームです。研究チームは、伸縮性と柔軟性を備えたマイクロ電極を開発し、高スループット(多数の信号を同時に)で神経信号を記録できること、そして脳の生体力学(動き・柔らかさ)に適合しやすいことを示しました。
BCIで電極が難しい理由:「硬さ」と「ズレ」が信号を不安定にする
BCIでは、脳の活動に伴う電気信号を電極で拾い、解析して機器操作などにつなげます。ただ、脳は非常に柔らかく、呼吸や脈拍などでもわずかに動きます。電極が硬い、あるいは追従しにくい場合、接触状態が変わりやすく、信号が揺れたりノイズが増えたりしやすいと考えられます。
今回の研究が狙うのは、この「脳の動きに合わせて電極側も“しなやかに”振る舞う」という方向性です。
キーワードは「伸縮性」「柔軟性」「高スループット」
今回の発表内容から読み取れるポイントは、次の3つです。
- 伸縮性:形が変わっても機能を保ち、脳の微小な動きに追従しやすい
- 柔軟性:脳の柔らかさに“近い”振る舞いで、機械的なミスマッチを減らす狙い
- 高スループット記録:多数チャネルの信号を同時に扱える可能性があり、情報量を増やしやすい
BCIの実用化を考えると、単に「計測できる」だけでなく、「日々の変動に強い」「必要な情報量を確保できる」ことが重要になります。伸縮性電極は、その両方に関わる基盤技術として注目されやすい領域です。
このニュースが示す“次の論点”
今回の研究は、BCIにおける電極設計の方向性を、より“生体に寄せる”側へ進める動きとして読み取れます。今後の焦点は、たとえば次のような点になりそうです。
- 長期安定性:時間が経っても記録品質を保てるか
- 実装のしやすさ:実際の運用環境で扱いやすい形にできるか
- データ量の活かし方:高スループットな信号を解析・学習でどう活用するか
BCIは医療・福祉からヒューマンインターフェースまで応用範囲が広い一方、基盤となる計測が安定しないと先へ進みにくい分野でもあります。今回の「脳の生体力学に適合する」電極は、その土台を静かに押し上げる研究として、今月の注目トピックになりそうです。
Reference(s):
Chinese researchers develop stretchable electrodes for stable BCI
cgtn.com








