清華大が天文AI「ASTERIS」開発、130億光年以上の銀河を捉える新手法
宇宙の「最も暗い光」をどう拾い上げるか――。中国の研究チームが開発した天文AIモデルが、130億光年以上彼方の銀河の観測を後押しし、深宇宙探査の限界を押し広げています。
何が発表された? 天文AIモデル「ASTERIS」
中国の科学者らは、天体観測向けの高度な人工知能(AI)モデル「ASTERIS」を開発し、これまで捉えにくかった微弱な天体信号の検出に役立てたとしています。研究成果は、2026年2月20日(現地時間の金曜日)に科学誌「Science」で公表されました。
ASTERISは、計算光学(観測装置側の光の取り扱いを計算で最適化する考え方)と、AIアルゴリズムを組み合わせ、背景ノイズに埋もれがちな信号を見分けることを狙います。
「130億光年以上」の意味:宇宙の“深い過去”を見る
研究チームによれば、ASTERISにより130億光年以上離れた銀河の観測が可能になったといいます。光年は距離の単位で、1光年は約9.46兆キロメートルです。
非常に遠方の天体ほど、私たちに届く光は弱くなり、観測は難しくなります。一方で、そうした「かすかな天体」は、宇宙の起源や進化を考えるうえで重要な手がかりになり得るとされています。
なぜ難しいのか:背景の空のノイズと望遠鏡の熱
微弱な天体の観測が難しい理由として、研究内容では次の点が挙げられています。
- 背景の空のノイズ:夜空の背景光などが観測信号に重なる
- 望遠鏡の熱放射:望遠鏡自体が発する熱の影響で、信号が紛れやすい
「見たいものが暗すぎる」だけでなく、「周囲がうるさすぎる」という、二重の壁がある構図です。
ASTERISは何を変えるのか:大量データを“読める形”にする
開発したのは清華大学の学際的チームとされ、ASTERISは宇宙望遠鏡から得られる膨大なデータを解読し、微弱信号の検出を支えることを目的に設計されています。特徴として、
- 複数の検出デバイスに対応しうる互換性
- 深宇宙データ解析を強化するための汎用的なプラットフォームになり得る可能性
が示されています。観測装置ごとに解析手法が細分化しがちな領域で、共通基盤になれるかどうかは、今後の運用や検証の積み重ねが焦点になりそうです。
次の注目点:観測の精度と、研究現場の使いやすさ
深宇宙観測は、装置の性能だけでなく、データから何を取り出せるか(解析)が成果を左右します。ASTERISのようなモデルが広く使われるには、
- ノイズ環境が違う観測条件でも同様に働くか
- 解析結果の再現性や検証手順をどう整えるか
- 現場の研究者が扱える運用設計になっているか
といった点が、静かな争点になっていきます。宇宙の「見えない」を少しずつ「見える」に変える動きとして、今後の展開が注目されます。
Reference(s):
Scientists push the limits of deep space exploration with new AI model
cgtn.com








