中国・ドイツ経済協力に追い風 AIとバイオで「次の5年」へ
2026年2月25日、中国の李強中国首相は北京でドイツのフリードリヒ・メルツ首相と会談し、中国・ドイツの経済・貿易協力は「今後5年間でより多くの機会を迎える」と述べました。今年は中国の第15次五カ年計画(2026〜2030年)の開始年にあたり、両国の協力分野を広げる姿勢が示された形です。
今回の会談で何が語られたのか
李強氏の発言を整理すると、焦点は大きく3つです。
- 対話の枠組みの活用:政府間協議などの対話メカニズムを十分に生かす
- 協力の「広げ方」:自動車・化学といった伝統分野を強化し、AIやバイオ医薬品など新領域も拡大
- 貿易と投資の双方向化:ドイツの高品質製品の輸入拡大と、中国企業の対独投資を後押し
自動車・化学──“強い分野”をどうアップデートするか
自動車や化学は、両国企業のサプライチェーン(供給網)と研究開発が長年つながってきた領域です。今回の「伝統協力の活性化」という言い回しは、既存の取引を維持するだけでなく、電動化・脱炭素化・素材革新などの文脈で協力の中身を更新していく意図もにじみます。
AIとバイオ医薬品──“新しい成長ドライバー”の主戦場
新興分野として名指しされたのが人工知能(AI)とバイオ医薬品です。AIは製造業の省人化や品質管理、創薬は研究期間の短縮など、産業競争力に直結します。一方で、データの扱い、規制、知的財産の管理など、協力を深めるほど「ルール設計」が重要になる分野でもあります。
貿易拡大と対独投資──「予見可能な環境」をめぐるメッセージ
李強氏は、ドイツからの高品質製品の輸入を増やす考えを示すと同時に、中国企業のドイツ投資を「奨励・支持する」と述べました。そのうえでドイツ側に対し、公正で安定的、予見可能なビジネス環境の提供を期待するとしています。
ここでの「予見可能性」は、企業が中長期投資を判断する際のカギです。法制度や運用の透明性、政策の継続性、手続きの明確さといった、目立たないが重要な要素が含まれます。
署名された協力文書:グリーン転換、税関、スポーツ、メディア
会談後、両首脳は複数分野の協力文書の署名に立ち会いました。発表された分野は以下の通りです。
- グリーン転換:脱炭素や省エネ、関連技術・制度面の協力が視野に
- 税関:通関の円滑化や手続き面の連携強化につながる可能性
- スポーツ:人的交流や大会・育成協力など、社会的接点を増やす領域
- メディア:相互理解の促進を意識した協力枠組みになり得る
次の注目点:合意を「実装」に落とす難しさ
大枠の方向性が示されても、実際の成果は個別案件の積み上げで決まります。政府間協議の頻度やテーマ設定、企業が動ける制度運用、そしてAIやバイオのようにルールが成果を左右する分野で、どこまで具体化できるか。第15次五カ年計画の「最初の一年」に示された今回のメッセージは、両国が次の5年をどう設計していくのかを占う入口になりそうです。
Reference(s):
China-Germany economic, trade cooperation sees more opportunities
cgtn.com








