米中「第1段階」貿易合意めぐり応酬、関税再燃の火種は消えるのか
2026年2月25日、中国商務部は、米中の「第1段階」経済・貿易合意の実施状況を米国が客観的かつ理性的に見るよう求めました。米国側が301条調査を進め、追加関税の可能性に言及する中、合意の評価と今後の運用が改めて焦点になっています。
何が起きた?――「第1段階」合意の評価をめぐる食い違い
中国商務部によると、今回の発言は、米通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア代表が、米国は中国側の合意順守に関する通商法301条調査を継続し、関税措置を科す可能性があると述べたことへの回答です。
中国側は、米国に対して「責任転嫁を控えること」や、「中国を口実に問題を作ったり挑発したりしないこと」を求めたとしています。
中国商務部の主張:2020年の発効後「困難の中でも履行してきた」
商務部は、「第1段階」経済・貿易合意が2020年初めに発効して以降、中国は新型感染症の流行、その後のサプライチェーン混乱、世界経済の減速といった逆風を乗り越えながら実施に努めてきたと説明しました。
具体的には、次の分野で合意上の義務を誠実に果たしてきたとしています。
- 知的財産保護に関する取り組み
- 金融・農業分野の市場開放の推進
- 貿易協力の拡大(合意に沿った協力の推進)
米国側への指摘:輸出管理・投資制限が「合意の雰囲気を損ねた」
一方で商務部は、米国が対中輸出管理を強化し、投資の制限を拡大するなど、抑制的・制限的措置を継続してきたと主張しました。これが通常の貿易・投資活動を妨げ、合意の精神に反し、実施のための条件や雰囲気を損ねたという見方です。
焦点の「301条調査」と関税:次の一手はどこに向かう?
通商法301条は、米国が不公正だとみなす貿易慣行などに対して調査し、必要に応じて関税などの措置につなげうる枠組みです。USTRが調査を進め、追加の関税措置に言及したことで、市場や企業は「コスト増」「サプライチェーン再調整」のリスクを意識しやすくなります。
これに対し中国商務部は、仮に米国が調査を押し進め、調査を名目に関税や他の制限措置を導入するなら、中国は正当な権益を守るために必要な措置を取るとしています。
昨年以降の協議は続いてきた:合意の“管理”が問われる局面へ
商務部によれば、昨年以降、米中は5回の経済・貿易協議を行い、相互関税の停止期間の延長、農産物貿易、輸出管理、投資制限の緩和などについて重要な成果や複数の共通認識に至ったとしています。協議の過程で「第1段階」合意についても複数回コミュニケーションを取ってきた、という説明です。
また、両国首脳間の重要な共通認識に導かれ、中国は米国と協議メカニズムを活用し、既存の合意事項の実行に焦点を当てながら、将来志向で利益の接点を探っていく意向だと述べました。
読みどころ:今回のニュースをどう捉えるか
今回のやり取りは、「合意をどう評価するか」という言葉の応酬であると同時に、関税や規制が現実の取引条件を左右しうる局面に入ったことも示します。今後の注目点は、次の3つです。
- 301条調査の進め方:追加関税の有無や対象範囲
- 協議メカニズムの機能:対立の管理が続くのか、途切れるのか
- 企業活動への波及:調達・投資・輸出管理の見通しがどう変わるか
「履行」をめぐる主張は平行線でも、実務の交渉ルートが動いている限り、局面は強硬一辺倒とも限りません。次に出てくるのが“言葉”か“措置”か――そこが市場にとっての分岐点になりそうです。
Reference(s):
China calls on U.S. to view phase-one trade deal objectively
cgtn.com








