2026年「辰年」ならぬ「午年」効果?ラグジュアリーが“東”に目を向ける理由
2026年2月、干支の「午(うま)」を切り口に、赤の差し色や馬モチーフがラグジュアリーファッションで目立っています。デザインの流行というより、文化の物語をまとわせて中国本土との接点をつくり直す動きとして注目されています。
店頭とSNSで増える「赤」と「馬」──午年のサイン
旧正月(春節)シーズンに合わせ、世界のラグジュアリーブランドが“午年らしさ”を前面に出す展開が広がっています。視覚的に分かりやすいのは、赤を効かせたカラーパレット、そして馬のシルエットや金具・刺しゅうなどの意匠です。
小物やチャームのような「テーマ性のあるトリンケット(小さな飾り)」がセットで提案されるのも特徴で、コーデの一点として取り入れやすく、SNSで共有されやすい設計になっています。
なぜ午年が「文化のレンズ」になるのか
午年は、ラグジュアリーにとって単なる季節イベントではなく、中国の文化に敬意を示しながら新作のストーリーを組み立てる“入口”として機能します。ブランド側が狙うのは、次のような重なりです。
- 象徴性:馬が連想させる躍動感、前進、希望といったポジティブなイメージ
- 物語性:伝統(ヘリテージ)と現代ファッションをつなぐ短いストーリーの作りやすさ
- 感情的な接続:文化的に馴染みのあるモチーフが「自分ごと」として受け取られやすい
結果として、コレクション本体とは別に、限定色や限定意匠の“カプセル(小規模)”展開が組まれやすくなります。
「デザイン」だけでなく「語り方」まで東を向く
今回の午年テーマで目立つのは、色や柄の引用にとどまらず、語り方(ストーリーテリング)まで含めて東アジアの文脈に寄せる点です。
よく見かける表現の型
- 色:赤を主役にしつつ、黒・金・ニュートラルで「祝い」と「日常」を両立
- 意匠:馬のモチーフを全面に出す/金具や裏地に“隠し要素”として忍ばせる
- 構成:ギフト需要を意識した小物の充実(チャーム、財布、スカーフなど)
こうした設計は、購買の動機を「新作だから」から「節目の記念だから」へと移しやすく、贈答や自分へのご褒美と相性が良いとされます。
文化への敬意と商業性のバランスが問われる局面も
文化モチーフを扱う以上、受け手の感覚に寄り添えているかが重要になります。象徴の使い方が表層的に見えると、共感よりも違和感が先に立つこともあります。
そのため近年は、モチーフを大きく掲げるより、素材感や職人技、さりげないディテールで“理解している”ことを示す方向に寄るケースも増えています。午年の馬モチーフも、派手さだけでなく、解釈の丁寧さがブランド価値に直結しやすいテーマです。
この流れが示すもの:ラグジュアリーの「文化設計」競争
2026年の午年をめぐる動きは、ラグジュアリーが中国本土との関係を、価格や流通だけでなく文化的な接点の設計として組み直していることを映します。赤や馬という分かりやすい記号の裏で、ブランドは「何をどう語るか」を競っている――そんな構図が浮かび上がります。
春節が終わったあとも、限定カプセルの余波はしばらく続きそうです。次に街やSNSで“馬”を見かけたとき、デザインだけでなく、その背後の物語にも少し目を留めてみると、見え方が変わるかもしれません。
Reference(s):
The Year of the Horse: China's cultural influence in luxury fashion
cgtn.com








