中国「両会」開幕へ:第15次五カ年計画の初年度、注目点は成長目標と新法案
2026年の中国「両会」(全国人民代表大会=全人代と中国人民政治協商会議=政協の年次会議)が、第15次五カ年計画(2026〜2030年)期のスタートと重なる節目で始まります。政策の優先順位がどこに置かれるのか——その“羅針盤”が示される場として、国内外の関心が集まっています。
- 政協(第14期全国委第4回会議):水曜日に開幕予定
- 全人代(第14期第4回会議):その翌日に開幕予定
全人代では、中央政府の年次「政府活動報告」の審議に加え、2026年の予算案と2026年の発展計画案を審査します。今年はさらに、新たな五カ年計画の「概要(草案)」も審議され、2030年までの政策の軸が形づくられる見通しです。
今回の両会で何が語られる?まず押さえたい全体像
今回の議題は、短期の景気対策というよりも、中長期の制度設計や国家運営の土台づくりに重心が置かれているのが特徴です。会期中は、閣僚や政府部門の責任者、全人代代表、政協委員らが記者会見を行い、経済・社会発展・外交などの政策について国内外メディアに説明する予定です。
注目点1:第15次五カ年計画(2026〜2030年)の「新しい計画サイクル」
中国の統治システムにおいて五カ年計画は、経済・社会の方向性を示す戦略的な枠組みです。今回審議される第15次五カ年計画の概要(草案)は、財政運営、産業転換、社会の進歩に関する優先順位を、2030年までの時間軸で定める役割を持ちます。
前期(第14次五カ年計画期)は2025年に締めくくられ、経済規模は140兆元(約20兆ドル)を超えたとされています。国際メディアは、成長、労働生産性、研究開発(R&D)投資、都市化、平均寿命といった主要目標がおおむね達成、または上回った点に言及しています。
一方で、対外的には貿易摩擦や地政学的な緊張、世界経済の成長モメンタム不足といった「逆風」が意識され、国内でも構造課題と技術・産業面の新たな変化への対応が問われます。こうした環境認識の中で、新計画はサプライチェーン能力の強化や低炭素化などを含む“道筋”として提示される見通しです。
注目点2:2026年のGDP成長目標(市場が最も気にする数字)
両会で最も注目されやすい指標の一つが、2026年のGDP成長目標です。省レベルの地域からの早期シグナルとしては、「拡大(成長)は必要だが、質と構造の高度化に支えられるべきだ」という方向性がにじみます。
2025年は、内需の拡大とイノベーションの促進に力を入れ、成長目標5%を達成したとされています。今年の目標も、高品質発展(新たな質の生産力、消費の拡大、製造業の高度化、グリーン・低炭素の推進)という文脈に沿って示される見方が出ています。
注目点3:環境・民族団結・国家計画——新たな重要法案の審議
今回の全人代は、制度面の整備を映す法案審議でも目を引きます。審議予定とされるのは、主に次の3本です。
- 環境法典(草案):既存の環境関連法規を体系的に統合・改正し、「グリーン発展」を法の枠組みでより確かなものにする狙い。中国は2030年までにCO2排出量のピークアウトを掲げています。
- 民族団結と進歩の促進に関する法律(草案):社会の結束を強め、「中華民族共同体意識」を育むことを意図。
- 国家発展計画法(草案):国家発展計画の策定と実施を規律する「基本法」として位置付けられる想定。
環境分野では、江西省出身で環境の専門家とされる全人代代表の鄭海金氏が、環境法典について「生態修復などにより明確な指針を与える」との趣旨で言及しています。
注目点4:量子から6Gまで——「未来産業」をどう産業化するか
五カ年計画は、将来の産業を“青写真”として描く機能も担ってきました。今年1月には中国共産党中央委員会政治局が年初の集団学習で先端産業の見通しを扱い、新計画サイクルの優先度を示したとされています。
第15次五カ年計画の策定に関する提言(党中央の重要会議で採択)で挙げられた新たな成長ドライバーには、次の分野が含まれます。
- 量子技術
- バイオものづくり(biomanufacturing)
- 水素、核融合発電
- ブレイン・コンピューター・インターフェース(脳と機械の接続技術)
- エンボディドAI(身体性を持つAI)
- 6G移動通信
量子分野については、中国科学技術大学の量子科学教授である全人代代表の郭国平氏が、「研究室での検証から産業応用へ」重心が移るとの趣旨を述べています。基礎研究の戦略性、コア技術の突破、イノベーションの商業化加速、企業(特に主要テック企業)の役割強化、財政措置や科学技術金融、人材政策の拡充——これらが議論の中心に置かれる可能性があります。
注目点5:世界へのメッセージ——外交・地域情勢・APEC
両会は対外姿勢を読み解く窓口でもあります。昨年の両会では、王毅外相が記者会見で中国国内外の記者から23の質問に答え、発言の中で「協力」「開放」「多国間主義」といった語が繰り返し登場したとされます。「グローバル・サウス」や「人類運命共同体」への言及が目立った点も、国際メディアが注目したポイントでした。
今年の両会では、中東での軍事衝突の激化や、中国と日本の緊張した外交関係といった地域のホットスポットが焦点になる見通しです。さらに2026年は、中国とアフリカ諸国の国交開始から70周年に当たり、11月には第33回APEC経済指導者会議の開催も予定されています。投資家や各国・各地域の政府にとって、中国の対外発信は引き続き重要な観測対象になりそうです。
まとめ:2026年の両会は、第15次五カ年計画の初年度として「これからの5年」を形づくる会期です。成長目標、制度整備としての法案、未来産業の産業化、そして外交メッセージ——複数の論点が同時に動くため、発表される数字や言葉の“組み合わせ”が読みどころになりそうです。
Reference(s):
What to watch at China's Two Sessions as new five-year plan begins
cgtn.com








