中国首相、2026年は「高水準の対外開放」を拡大へ サービス・デジタル分野も
中国の李強・中国首相は2026年3月5日、全国人民代表大会(全人代)での政府活動報告の中で、今後1年に向けて「高水準の対外開放」をさらに拡大し、国際社会との協力を相互利益(ウィンウィン)で強める方針を示しました。焦点は、制度面の開放を進めながら、サービスやデジタル分野の市場アクセスを広げる点にあります。
「制度型の開放」を着実に――改革と成長のエンジンに
李氏は、対外開放を中国の改革と発展を後押しする手段として位置づけ、制度面(ルールや仕組み)での開放を「着実に拡大する」と述べました。貿易・投資の往来だけでなく、国際的な経済連携の枠組みとの接続を進める姿勢がにじみます。
サービス分野の市場開放を拡大:通信・バイオ・外資病院などを試行
具体策として挙げられたのが、サービス分野の市場アクセス拡大です。政府活動報告では、次のような領域での試行(パイロット)に言及しました。
- 付加価値電気通信(高度な通信サービス)
- バイオテクノロジー
- 外資系の病院(外国資本による病院)
あわせて、デジタル分野の開放を「秩序立てて拡大」し、国境をまたぐサービス貿易の制限を減らす方針も示されました。サービス分野の開放に関する国家級のモデル区域(実証区)を強化するとも述べています。
国際枠組みへの関与を加速:DEPA・CPTPP、WTO改革にも言及
李氏は、地域・二国間の貿易投資協定を進めるとともに、国際的な経済枠組みへの参加を加速するとしました。名指しされたのは以下の枠組みです。
- デジタル経済連携協定(DEPA)への加盟を積極的に推進
- TPP11(CPTPP)への参加を積極的に推進
- 世界貿易機関(WTO)改革への関与を深める
「開かれたグローバル経済」を支持する姿勢も強調され、ルール形成の場により深く関わる意図が読み取れます。
対中投資を呼び込む仕組みを改革:「内外無差別」の扱いを強調
投資協力では、外国投資を呼び込む仕組み(誘致メカニズム)の改革に取り組むとし、外国企業に対する「国民待遇」(国内企業と同等の扱い)を保障する方針を掲げました。加えて、外国投資を奨励する分野のカタログ(奨励リスト)の更新や、国際ビジネス向けサービスの改善にも触れています。
サプライチェーンの国境越え配置と「海外利益」の保護、リスク対策も
報告では、産業チェーン・サプライチェーンの秩序ある越境配置を導くこと、海外での総合サービス能力の強化、リスク予防、海外利益の保護を進めることも示されました。市場開放と同時に、企業活動の海外展開を支える実務的な体制整備も視野に入っている形です。
貿易は「安定」と「構造高度化」へ:人民元の越境利用、越境ECも拡大
対外貿易については、規模の安定と構造の最適化を図る方針を示しました。主な方向性は次の通りです。
- 金融・保険面の支援を拡充
- 人民元の国境をまたぐ利用を拡大
- 企業の市場多角化(販路の分散)を後押し
さらに、新たな成長ドライバーとして、越境ECや海外倉庫の拡大、国際物流ネットワークの改善、サービス輸出の促進、輸入の拡大(貿易のバランス改善)も打ち出しました。
いま何が読みどころか:開放の「分野」と「ルール」の同時進行
今回の政府活動報告で印象的なのは、(1)サービス・デジタルといった新しい競争領域の開放、(2)DEPAやCPTPP、WTO改革など国際枠組みへの関与――を同時に進めようとしている点です。制度整備と市場アクセスの拡大が並走することで、企業側は「参入のしやすさ」と「ルールの見通し」の両面を意識することになります。
今後の注目点としては、試行プログラムがどの地域・どの条件で進むのか、デジタル分野の開放が具体的にどの規制緩和につながるのか、そして国際枠組みへの参加が貿易・投資の実務にどう反映されるのか――といった“運用の形”に移っていく過程でしょう。
Reference(s):
China to expand high-level opening up, advance win-win cooperation
cgtn.com








