中国、2026年は半導体・低空経済など育成へ 第15次五カ年計画草案も提示
2026年3月5日、中国の全国人民代表大会(全人代)に提出された政府活動報告で、半導体(集積回路)や航空・宇宙、バイオ医薬、低空経済などの新興産業を育て、量子技術や6Gといった未来技術を加速させる方針が示されました。2026年に入ってからの産業政策の「重点分野」がまとまって提示された形です。
全人代に提出:政府活動報告と「第15次五カ年計画(2026-2030)」草案
今回の柱は2つです。
- 政府活動報告:2026年の重点分野として、新興・未来産業を具体名で提示
- 第15次五カ年計画(2026-2030)草案:今後5年間の産業育成と技術ブレークスルーの方向性を整理
「2026年に何を伸ばすのか」と「2030年までにどの領域で成長の柱を作るのか」を同時に示した点が、マーケットや技術コミュニティの関心を集めやすい構図になっています。
2026年に育成する「新興の柱産業」:4分野を明示
政府活動報告は、2026年に育成する新興の柱産業として、次の分野を挙げました。
- 集積回路(半導体):設計・製造・装置・材料など裾野が広い基盤産業
- 航空・宇宙:民生・産業インフラの高度化と先端製造の牽引役
- バイオ医薬:創薬・医療技術・製造プロセスを含む成長領域
- 低空経済:ドローンなど、地表近くの空域を活用する新しい産業群
とくに「低空経済」は、物流・点検・測量・防災などの用途と結びつきやすく、ルール整備や実証(試行)とセットで広がりやすいテーマとして注目されます。
「未来産業」には量子・6G・ブレイン—コンピューターなど
報告は、未来産業(将来の成長源)として次の技術領域も明示しました。
- 未来エネルギー
- 量子技術
- エンボディドAI(身体性AI):ロボットなど“実体”を持つ機械にAIを組み込み、環境で動けるようにする発想
- ブレイン—コンピューター・インターフェース(BCI):脳活動を信号として扱い、機器操作などにつなげる技術
- 6G:次世代の移動通信
いずれも研究開発から社会実装まで時間がかかりやすい一方、標準化や供給網(サプライチェーン)、人材育成まで含めて動きが連鎖しやすい領域です。
2026〜2030年:戦略的新興産業を「次の5年で加速」
同時に提出された第15次五カ年計画(2026-2030)草案では、今後5年間に加速させる戦略的新興産業として、以下が挙げられました。
- 新世代情報技術
- 新エネルギー
- 新素材
- スマートコネクテッド新エネルギー車
- ロボティクス
- バイオ医薬
- ハイエンド装備(高級設備)
- 航空・宇宙
さらに、新たな経済成長の牽引役(新しい成長ドライバー)として、量子技術、バイオ製造、水素、核融合発電、BCI、エンボディドAI、6G移動通信が並びます。研究テーマの列挙にとどめず、「成長ドライバー」という言い方で経済政策と接続している点が特徴です。
「自立自強」とコア技術:半導体から基礎ソフトまで“全チェーン”で突破を狙う
草案は、オリジナル・イノベーション(独創的な革新)と、重点分野におけるコア技術のブレークスルーを進め、科学技術の自立自強を強める方針も掲げました。
具体的には、次の分野で「異例の措置」を講じ、全チェーン(上流から下流まで)で決定的な突破を目指すとしています。
- 集積回路(半導体)
- 工作機械
- ハイエンド計測機器
- 基礎ソフトウェア
- 先端材料
- バイオ製造
製品単体ではなく、装置・材料・ソフトウェアなどを含む“産業の骨格”を押さえにいく設計だと読み取れます。
国際科学技術イノベーション拠点を「3つ」構築へ
政府活動報告は、国際的な科学技術イノベーションのセンターを3つ建設し、世界クラスのイノベーション・エンジンにすると強調しました。研究開発の場づくりは、企業投資や人材循環にも波及しやすく、今後の具体策(テーマ選定、制度設計、資金配分)の出方が焦点になります。
このニュースの見どころ:次に出てきそうな論点
政策の方向性が示されたことで、今後は「実行の設計」が注目点になっていきます。たとえば、
- 低空経済:運航ルール、安全基準、都市部での運用、保険や責任設計
- 6G・量子:研究開発投資の配分、標準化や実証の進め方
- エンボディドAI・ロボティクス:製造業や物流など現場導入の速度
- 半導体・基礎ソフト:人材育成、供給網の安定化、産学連携の具体化
2026年は、成長分野の「名前」が並ぶ段階から、制度・投資・実証がどう組み合わさっていくのかが、落ち着いて追うべきポイントになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com







