亜熱帯・深圳の巨大屋内スキー場を動かす「建物が発電する」BIPV video poster
亜熱帯の深圳で“冬が終わらない”世界最大の屋内スキーリゾートをどう動かすのか――答えの一つが、建物そのものが電力を生み出す建材一体型太陽光発電(BIPV)です。2026年3月現在、都市の脱炭素と建築技術の融合が、目に見えるかたちで進んでいます。
世界最大の屋内スキーリゾートが抱える「エネルギーの問い」
深圳の「Qianhai Huafa Snow World」は、屋内で雪と滑走環境を維持するという特性上、運用に大きなエネルギーが必要になります。暑さのある地域で“雪の空間”を成立させるには、冷却や空調など多方面の設備が欠かせないためです。
そこで焦点になるのが、「使う電力をどうクリーンにするか」という設計思想です。巨大施設であればあるほど、電力の出どころ(電源)をどう組み立てるかが、環境負荷と運営の両面で重要なテーマになります。
BIPVとは? 屋根や外装が“発電設備”になる発想
今回取り上げられているのは、Building-Integrated Photovoltaics(BIPV)と呼ばれる技術です。太陽光パネルを「後付けの機器」として載せるのではなく、建物の一部(屋根材・外装材など)として組み込むことで、建築と発電を一体化させます。
- 屋根が発電する:屋上スペースを電力創出に活用
- “建材に見える”太陽光:パネルが建物素材のようにデザインへ溶け込む
- 都市の面で稼ぐ:点ではなく、建物単位で再生可能エネルギーを増やす
言い換えると、建物が「消費する箱」から「エネルギーを生む器」に変わっていく流れです。
深圳「Qianhai Huafa Snow World」で見える、建築のアップデート
建築シリーズArchitecture Intelligence Season 2のエピソードでは、この屋内スキーリゾートを例に、屋上でのクリーン電力の創出や、太陽光パネルを建材のように見せる設計など、BIPVが「建築の言語」として使われ始めている様子が紹介されています。
施設の規模が大きいほど、発電の工夫は“象徴的な取り組み”ではなく、運用を左右する実装の話になります。発電が景観や意匠と対立せず、むしろ設計の一部として成立している点は、今後の都市建築にとって示唆的です。
「双炭素」目標の文脈で、建物はどう変わるのか
エピソードが強調する背景の一つが、中国が進める「双炭素」目標(カーボンピークアウトとカーボンニュートラルに向けた取り組み)です。都市の排出削減は、発電所や工場だけでなく、日々稼働する建物の設計思想にも広がっています。
屋内スキーリゾートのような「エネルギー需要が大きい施設」で、発電を建築に組み込む試みが可視化されると、脱炭素はスローガンではなく、設計・素材・運用の組み合わせとして語られるようになります。
次に注目したいポイント:建物はどこまで“自走”できる?
BIPVは、単に太陽光を載せる話にとどまらず、建物の役割そのものを拡張します。一方で、どの程度の発電を見込むのか、建材としてのデザインと性能をどう両立させるのかなど、設計判断はより複雑になります。
巨大な屋内施設が「冬」を維持しながら、同時に「電力も生む」。その両立がどこまで広がるのかは、都市の未来像を考えるうえで静かに効いてくる論点になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com







