中国、AIで雇用創出へ 2026年は1270万人卒業生支援
中国の雇用政策が、人工知能(AI)を「新しい仕事を生む道具」として位置づけ、2026年の雇用拡大と質の向上を同時に狙う動きが強まっています。3月7日、全国人民代表大会(全人代)年次会議の会期中に開かれた記者会見で、王暁萍・中国人力資源社会保障部長が方針を説明しました。
AIを雇用創出にどうつなげるのか
当局は、AIを活用して新規雇用を作るだけでなく、従来型の職種の「能力拡張(仕事のやり方を変えて価値を上げること)」にもつなげる考えです。王部長は2026年のロードマップとして、雇用優先の方針を深め、「指導の強化・経路の拡大・重点の確保」によって雇用情勢の前進を目指すと述べました。
重点分野はデジタル経済・先端製造・現代サービス
雇用の受け皿として期待されるのは、次の領域です。
- デジタル経済
- ハイエンド(高付加価値)製造
- 現代サービス業
産業の高度化(産業転換)に合わせ、成長分野で新しいポストを生み出すことが「雇用の量」を押し上げる狙いとして語られました。
「守る雇用」も重視:労働集約型産業の下支え
新産業での雇用創出と同時に、既存の雇用を維持する施策も並行します。具体的には、対外貿易、建設、宿泊・飲食など労働集約型の分野への支援を厚くし、当面の雇用の安定を図るとしています。
雇用の「質」へ:最低賃金・市場秩序・賃金支払いの徹底
王部長は、雇用を増やすだけでなく、働く環境の質を高める取り組みも示しました。
- 最低賃金基準を調整する仕組みの整備
- 人材サービス(人力資源)市場の秩序の是正
- 出稼ぎ労働者(農民工)向けの賃金支払い保障制度の全面的な徹底
求人と労働条件の「見え方」を整え、賃金の未払いなどの不安を減らすことが、就業の継続や移動の円滑化につながるという発想が読み取れます。
最大の焦点は若者:今年は大学卒業生1270万人
重点グループとして特に挙げられたのが若年層です。今年(2026年)は約1270万人の大学卒業生が労働市場に入る見通しとされ、王部長は政策の精緻化と、多様な就業ルートの掘り起こし、コミュニティ(地域)レベルでの機会拡大に取り組む考えを示しました。
「若者があらゆる産業で才能を発揮できるよう支援する」との発言もあり、成長産業への誘導と、地域・基礎部門の需要の接続が課題になりそうです。
技能人材の育成へ:世界技能五輪は2026年9月に上海で開催
技能人材(スキル人材)への関心も高まっています。王部長は、第48回世界技能競技大会(WorldSkills Competition)を2026年9月22日から27日に上海で開催すると明らかにしました。テーマは「Skills Change the World, Skills Illuminate the Future(技能が世界を変え、技能が未来を照らす)」とされています。
通年の採用支援と、雇用を下支えする政策パッケージ
就職・採用のマッチングでは「通年での採用と途切れない職業紹介」を掲げ、継続的な求人・あっせんを進める方針です。加えて、雇用維持の還付(雇用安定のための支援金)、社会保険料の補助、起業向けの融資支援など、既存の支援策も活用するとしています。
静かに進むテーマ:AI時代の雇用は「移る」
今回の発表は、AIを成長のエンジンとして使う一方で、従来産業の雇用を支え、賃金や市場秩序の整備で就業の安心感を高めるという「同時進行」の構図が特徴です。新しい職が増えるほど、必要な技能や職業訓練の中身も変わります。AIの導入が速い領域ほど、教育と採用の接続がどこまで滑らかになるかが、2026年の雇用の手触りを左右しそうです。
Reference(s):
China to harness AI for job creation, supporting college graduates
cgtn.com







