中国本土の旅行市場が、海外からの訪問増と「決済のしやすさ」を追い風に拡大しています。2026年3月に開かれた記者会見で、2025年のインバウンド(訪中旅行)が延べ1億5,000万回を超え、前年から17%増えたと示されました。
2025年の訪中旅行、延べ1.5億回超に
全国人民代表大会(全人代)第14期の第4回会議に関連した「民生」をテーマとする記者会見で、文化・観光相の孫業礼氏が2025年の観光統計を説明しました。
- インバウンド(訪中)旅行:延べ1億5,000万回超(前年比17%増)
- インバウンド消費:1,300億ドル超
- うちビザ免除での入国:3,000万人超
ビザ免除の拡大で「思い立った旅」が現実に
孫氏によると、中国本土は一方的なビザ免除政策の対象を拡大し、現在は50カ国をカバーしているとのことです。短期滞在での手続き負担が軽くなることで、旅行の意思決定が早まりやすい点が注目されます。
モバイル決済が「旅行体験」の一部に
今回の説明で特徴的なのは、観光の伸びを支える要素として決済環境が具体的に語られたことです。2025年、インバウンド旅行者によるモバイル決済の利用額は800億元(約110億ドル)に達したといいます。
利便性向上のための施策として、次のような取り組みが挙げられました。
- 国際ブランドの銀行カードを、中国本土のモバイル決済アプリにひも付け可能に
- 海外の電子マネー(海外eウォレット)を中国本土で利用できるように
- 外貨両替拠点や、出国時の税還付(タックスリファンド)拠点を拡充
国内旅行も好調、春節(2026年2月)は過去最高
海外からの訪問増と同時に、中国本土の国内観光も記録的な水準が示されました。2026年2月の春節9連休では、国内旅行が延べ5億9,600万回、消費は8,000億元超(約1,104.7億ドル)に上ったとされています。
また、2025年通年では次の通りです。
- 国内旅行:延べ65億回超(前年比16%超増)
- 国内旅行の総支出:6.3兆元(約8,750億ドル)(9.5%増)
「体験経済」が後押し、文化×観光の統合を深める方針
孫氏は「体験経済」の勢いにも言及し、その基底にある考え方として「文化が観光を力づける」構図を挙げました。今後は、文化と観光のより深い統合を進め、公演やスポーツイベントと旅行体験を組み合わせた新しい文化ブランドの創出を図るとしています。
数字の裏側で起きていること
2025年のインバウンド増を「旅行者数」だけでなく、「制度(ビザ免除)」と「生活インフラ(決済)」の両輪として語った点は、旅行が国境を越えるときの障壁がどこにあるのかを静かに示します。行き先の魅力に加えて、入国手続きや支払いのストレスが減るほど、旅行は日常に近づいていく——そんな変化が数字から浮かび上がります。
Reference(s):
cgtn.com







