中国の全人代常務委、2025年に新法6本・改正14本 立法報告
中国の立法動向を占う材料として、制度づくりの「数」と「中身」が同時に見える報告が出ました。中国の最高立法機関である全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は、2025年に新たに6本の法律を制定し、14本を改正したとする報告をまとめ、2026年3月9日、開催中の第14期全人代第4回会議に提出しました。
1年で「40件」を審議、新法6本・改正14本
報告によると、全人代常務委はこの1年(2025年)に、法律・法律解釈・決定案を含む計40件を審議しました。内訳は次の通りです。
- 法律の制定:6本
- 法律の改正:14本
- 法律解釈:1件
- 法律および重大問題に関する決定:3件
- 条約・重要協定の承認:9件
この活動報告は、全人代常務委員会の趙楽際(ジャオ・ルージー)委員長が会議に提出したものです(新華社による)。
経済分野:民間部門を後押し、不正競争や貿易制度も整備
報告が強調したのは、改革と発展を「高品質の立法」で支えるという位置づけです。経済関連では、次の動きが挙げられました。
- 民間部門促進法を制定し、「公平な取り扱い」「公正な競争」「平等な保護」「共通の発展」といった原則を明確化
- 不正競争法を改正し、法の支配に基づく信用経済の発展に資する仕組みを整備
- 海事法、仲裁法、対外貿易法を改正し、国際的に確立したルールとの整合性を高め、「高水準の対外開放」を支える狙い
民間経済の位置づけを法文で明確にしつつ、市場秩序(競争)や紛争解決(仲裁)、対外取引(貿易)をセットで更新する構図は、制度運用の安定性を重視する姿勢として読めます。
暮らしと統治:公衆衛生の緊急対応を法制化
社会ガバナンスと公衆の福祉に関しては、
- 公衆衛生緊急対応法を制定
- 感染症の予防・管理に関する法律を改正
が挙げられました。平時から緊急時までの対応を法律で組み立て直す動きは、医療・行政・現場の連携を「運用」だけでなく「規範」でも支えようとするアプローチです。
安全保障と技術:原子力の平和利用、データと個人情報保護
国家・公共の安全に関わる分野では、
- 原子力エネルギー法を制定し、原子力の研究開発と平和利用を法に基づき推進
- サイバーセキュリティ法を改正し、データ安全と個人情報保護を強化
という二つの方向性が示されました。技術が経済や生活基盤に深く入り込むほど、促進(活用)と保護(安全)の両方を同時に整える必要が出てきます。今回のラインナップは、その制度設計を前へ進めた形です。
立法だけでなく「監督」も:新たな生産力と財政・経済を点検
全人代常務委は、立法と並ぶ役割として監督(監視・点検)も行ったとしています。具体的には、国務院(国務院)による
- 「新たな質の生産力(new quality productive forces)」の育成
- 科学技術の成果活用の推進
に関する報告を聴取・審議し、技術革新と産業革新の「深い統合」を促す狙いを示しました。加えて、財政・経済分野の監督強化や、法執行の検査も行ったとしています。
立法の本数は一つの指標にすぎませんが、経済、衛生、エネルギー、サイバーといった領域をまたいで制度の更新が進むと、企業活動や研究開発、日常のデジタル利用の「前提条件」も少しずつ変わっていきます。今後の審議で、これらの法律がどのように運用設計へ落とし込まれていくのかが注目点になりそうです。
Reference(s):
China's top legislature enacts 6 new laws, revises 14 in 2025
cgtn.com








