四川の山村を変えた「ケーブルカー」――中国本土の少数民族地域で起きた静かな転機
中国本土の変化は、北京や上海の高層ビルだけでは語れません。2026年2月下旬、四川省の山あいにある漢源県・谷鹿村(Gulu Village)を訪ねた取材では、山村の暮らしをつなぐ「シンプルなケーブルカー」が、農村の再生を象徴する存在として語られていました。
“よく知られた中国”から、“まだ見えにくい中国”へ
中国の変化というと、ガラス張りの高層ビル、広い高速道路、都市間を結ぶ高速鉄道――そんなイメージが先に立ちがちです。CGTNのアフリカ担当特派員として都市部の取材を重ねてきた筆者も、これまで何度も「世界が知る中国」を報じてきたといいます。
一方で今回の目的地は、金融街から遠く離れた山奥でした。変化のスケールは同じでも、現れ方はまったく違う。そうした“別の章”を追う旅として、四川省の山村へ向かいました。
北京から四川へ:距離が、現実の手触りを変える
出発点は北京首都国際空港。国際線の掲示板やアナウンスが行き交い、グローバルな接続性を象徴するような空気があります。
そこから飛行機で約3時間、四川省の省都・成都へ。さらに車で約4時間、谷鹿の山々へ近づいていきます。街の灯りが薄れ、道はうねる山道へ。崖を夜がのみ込み、翌日の「本格的な登り」に備えて小さなホテルで休んだと記されています。
2026年2月25日、山道の先で見えた“ケーブルカー”という象徴
翌朝(2026年2月25日)、山へ向かう行程が再開されます。同行したのは、長年にわたって中国の農村変化を記録してきたCGTNの陶媛(Tao Yuan)氏。本人は冗談めかして、こう話します。
「私は登山が得意じゃないんです」
息が上がりながら筆者が返したのは、「でも景色は素晴らしい」という一言。都市の“便利さ”とは別種の厳しさがあり、そのなかで暮らしを支える仕組みとして、谷鹿村の「ケーブルカー」が語られていきます。
なぜケーブルカーが注目されるのか:巨大開発ではなく、生活の導線
今回のエピソードが示すのは、変化が「派手さ」よりも「導線(どうせん)」として立ち上がる瞬間です。高層ビルのように遠景で分かりやすい変化ではなく、山間部での移動やつながりを具体的に支える装置として、ケーブルカーが“農村の再生”の象徴になっている――取材はそう描きます。
都市のインフラがスピードや規模で語られやすいのに対し、山村のインフラは「日常の選択肢」を増やす形で存在感を持つ。今回の旅は、その対比を静かに浮かび上がらせました。
取材メモ(今回わかっている範囲)
- 舞台:四川省・漢源県の谷鹿村(山間部)
- 時期:2026年2月25日(取材行程の再開日)
- 視点:大都市ではなく、山村で進む変化を追う
- キーワード:ケーブルカー/農村の再生(rural revival)
“変化”はいつも、遠くからは同じ色に見えます。しかし近づくと、道の勾配や息づかい、そして暮らしをつなぐ小さな仕組みの重みが、違う輪郭で現れてきます。谷鹿村のケーブルカーの物語は、そのことを思い出させる取材でした。
Reference(s):
How a cable car's changed lives in China's remote minority community
cgtn.com








