テヘランの世界遺産近くで空爆、ゴレスターン宮殿が大きく損傷(2026年3月)
2026年3月2日、テヘラン中心部のアラーグ広場(ゴレスターン宮殿が含まれるUNESCO世界遺産の緩衝地帯)で空爆があり、宮殿が大きな被害を受けました。軍事行動が文化遺産の保護とどう両立しうるのか、改めて重い問いを突きつけています。
何が起きたのか(2026年3月2日)
今回の空爆は、UNESCO世界遺産に登録されているゴレスターン宮殿の「緩衝地帯(バッファーゾーン)」に位置するアラーグ広場で発生し、結果として宮殿の損傷につながりました。緩衝地帯は、遺産の景観や歴史的価値を守るために設定される重要な範囲であり、その周辺での被害は文化財保護の観点から注目されています。
ゴレスターン宮殿とは:2013年登録の“記憶の建築”
ゴレスターン宮殿は、カージャール朝時代の傑作として知られ、2013年にUNESCO世界遺産に登録されました。伝統的なペルシア建築とヨーロッパ様式が融合した象徴的な存在で、歴史的には王室の式典や外交の舞台としても使われてきたとされています。
いまもなお、イランの集団的記憶を体現する代表的な場所の一つとされるだけに、損傷のニュースは「建物の被害」にとどまらず、社会の記憶やアイデンティティの毀損として受け止められやすい側面があります。
緩衝地帯で起きた損傷が示す論点
「守るべき場所」が戦禍に巻き込まれる現実
世界遺産は、価値の普遍性が認められた場所です。一方で、現実の紛争や軍事作戦は、その「普遍性」や「保護の枠組み」を簡単に横切ってしまうことがあります。今回のように緩衝地帯で被害が出た場合、文化財の保護はどこまで機能していたのか、あるいは機能しえたのかが問われます。
文明への敬意は“選択的”になりうるのか
ネット上では「文化の浄化(cultural cleansing)ではないか」「文明への敬意が選別されているのでは」といった強い言葉も飛び交いがちです。ただ、こうした言葉が拡散しやすい局面ほど、事実関係の確認と、論点の切り分けが重要になります。文化財が損傷したという一点だけでも、国際社会が向き合うべき課題は十分に大きいからです。
「なぜゴレスターン宮殿が?」残る疑問
現時点で、この出来事が投げかける問いは少なくありません。例えば、次の点は今後の説明や検証が求められます。
- 空爆が行われた場所と、世界遺産・緩衝地帯との位置関係はどうだったのか
- 文化財保護の観点から、事前の回避措置や警告はありえたのか
- 損傷の範囲はどこまで広がり、修復にどれほどの時間が必要になるのか
- 国際的な文化遺産保護の枠組みは、現実の軍事行動に対してどこまで実効性を持てるのか
今月に入って起きたこの被害は、建築の損傷にとどまらず、「歴史を保存する」という約束が、危機の中でどれほど脆いかを映し出しています。続報では、被害の詳細とともに、文化遺産を守るための具体的な対応が取られるのかが焦点になりそうです。
Reference(s):
Cultural cleansing? America's selective respect for civilization
cgtn.com








