AI教育は「大規模×個別最適」をどう両立する?CPPCC委員・徐坤氏が語った変化
AI(人工知能)が教育現場を変えつつあります。中国人民政治協商会議(CPPCC)第14期全国委員会の委員で、北京郵電大学(BUPT)学長の徐坤(Xu Kun)氏は現地時間2026年3月11日(水)、AIの統合によって「大規模でありながら個別最適化された人材育成」が進んでいると述べました。
徐坤氏が示したポイント:「大規模化」と「個別最適化」を同時に
徐氏の発言の核は、これまで相反しがちだった2つの要請を、AIが同時に前へ進めうるという見立てです。
- 大規模(large-scale):多くの学習者に一貫した学習機会を届ける
- 個別最適(personalized):理解度や目標に合わせて学び方を変える
教育の世界では、人数が増えるほど「同じ教材・同じ進度」になりやすい一方、個別対応を徹底しようとすると教員の負荷が高まりやすい、というジレンマがありました。徐氏は、AIの統合がこの構図を揺さぶっていると説明しました。
学生側に起きている変化:学びが「一括配信」から「伴走」へ
徐氏は、AIが学生の学びを変えている点に触れています。具体的な製品名や制度の詳細には踏み込みませんでしたが、一般にAI統合が進むと、学習は次のように設計しやすくなります。
- 理解の穴を見つけやすい:つまずきやすい単元を早めに把握し、補助学習につなげる
- 到達目標を分解できる:大きな目標を小さなステップに落とし込み、進捗を可視化する
- 学習のペースを調整しやすい:得意・不得意に応じて復習や発展に時間を振り分ける
ここで重要なのは「AIが教える」のではなく、学びの設計が“個別にほどける”形へ近づくことです。学習者が自分の理解を点検しやすくなる一方で、評価の作り方や学習の動機づけなど、これまで以上に丁寧な設計も求められます。
教員側の変化:授業づくりと支援の時間配分が変わる
徐氏は、AIが教員にも変化をもたらしていると述べました。AIの統合が進むほど、教員の仕事は「説明する時間」だけでなく、学習の質を守るための設計・対話へ比重が移りやすくなります。
- 学習状況の把握:どこで迷っているかを早めに掴み、声かけの優先順位を決める
- 教材と課題の調整:理解度の幅があるクラスでも、共通課題と選択課題を組み合わせやすい
- フィードバックの質:一律の採点から、思考のプロセスを見取るコメントや面談へ寄せやすい
ただし、現場でAIを“使える形”にするには、学習データの扱い方、運用ルール、教員研修など、地味だが重要な土台づくりが欠かせません。
「人材育成」という言葉が示すもの:知識より“力の組み合わせ”へ
徐氏が用いた「人材育成」という表現は、単なる知識の習得にとどまらず、複数の能力を組み合わせて伸ばす視点を含みます。AI時代の教育は、次の問いと相性が良いと言われます。
- 何を知っているかより、どう調べ、どう判断するか
- 正解に速く到達するより、説明できる形で考えられるか
- 個人最適だけでなく、他者と協働して成果を出せるか
AIの導入は便利さと同時に、学びの目標(何を「できるようになった」とするか)を再定義する圧力にもなります。教育が変わるとき、テクノロジー以上に変わるのは「評価」と「授業設計」かもしれません。
いま注目したい論点:広がるほど問われるルール
大規模に広がる技術ほど、運用ルールの差が学習体験の差につながりやすくなります。AI教育を語るとき、次の論点は避けて通れません。
- 学習データの扱い:どこまで集め、誰が管理し、いつ消すのか
- 公平性:環境差によって学びの質が開かないか
- 学習の誠実性:AI利用の境界線をどう設計するか
徐氏の発言は、AIが教育を「効率化」するだけでなく、学びの仕組みそのものを組み替える局面に入っていることを示唆しています。2026年、教育の変化は“ゆっくりだが確実に”広がっているのかもしれません。
Reference(s):
AI in education: Enabling large-scale, personalized talent cultivation
cgtn.com








