中国本土で物流とECが噛み合う理由 岳建武氏が語る「ネットワーク設計」 video poster
中国本土で物流とEコマース(EC)が“同じスピード感”で動く背景には、配送の現場だけでなく、ネットワークの配置や運用の組み立て方そのものが関係しています。2026年3月時点で注目されるこの連携の仕組みを、物流業界ベテランの岳建武(Yue Jianwu)氏がインタビューで説明しました。
話題の中心:物流とECが「別々の産業」ではなくなった
岳氏は、物流とECがうまく結びついている理由を「物流網の“布局(レイアウト)”と、ECの需要を捉える力が一体で進化したため」と捉えています。片方が伸びるほど、もう片方の設計も磨かれる——そんな循環が起きている、という見立てです。
岳建武氏とは:現場視点と政策・産業の接点に立つ人物
今回の発言者である岳建武氏は、全国政治協商会議(CPPCC)全国委員であり、甘粛省物流業協会の会長も務める物流分野のベテランです。取材はCGTN Españolの呉文賢(Wu Wenxian)氏が行いました。
カギは「ネットワークの配置」:幹線・支線・ラストワンマイルをつなぐ発想
岳氏が強調するのは、物流を単なる“配送”として見るのではなく、全国をどうつなぐかというネットワーク設計として捉える視点です。具体的には、次のような層を連動させる考え方が中心にあります。
- 幹線(長距離):地域間を結ぶ大動脈
- 支線(中距離):都市・地域内での分配
- 末端(ラストワンマイル):利用者の手元まで届ける最終区間
この3層を“別部門の仕事”として切り分けるのではなく、全体最適の設計として揃えることで、ECの注文増にも対応しやすくなる、という整理です。
EC側の工夫:売る仕組みが「運ぶ前提」で設計される
もう一つの論点は、ECが物流を外注先としてだけ扱わず、最初から運用の一部として組み込んでいる点です。岳氏の説明は、物流が強いからECが伸びたという単線ではなく、ECが物流の要求水準を押し上げ、物流がそれに応えていく往復運動に焦点があります。
その往復運動を支える要素として、インタビューでは次のような方向性が示唆されます。
- 在庫配置:需要に合わせて、どこに置くかを工夫する
- 処理の標準化:倉庫から配送、受け渡しまでの“型”を揃える
- 情報の連動:注文情報と物流の運用を途切れさせない
強みは「循環」:データ→配置→配送→体験がつながる
岳氏の語りから浮かぶのは、物流とECの関係が“取引関係”を超え、改善が連鎖する仕組みになっている点です。利用者の体験(届く速さ・確実さ)が次の注文につながり、注文が増えるほど運用の磨き込みが進む。この循環が、ネットワーク全体の完成度を押し上げる、というイメージです。
「物流網の配置と運用が整うほど、ECの成長が現場の改善につながり、さらに全体が強くなる」——インタビューの趣旨
次に問われるのは「広がり方」:地域差をどう埋めるか
ネットワークが大きくなるほど、地域ごとの条件の違い(距離、人口密度、需要の偏り)も設計に影響します。岳氏が語る「布局」という言葉には、こうした差を前提に、無理なくつながる形を探るニュアンスがあります。
物流とECの連携は、目に見える“配達の速さ”だけでなく、裏側の設計思想がどう更新されていくかで評価が変わっていきそうです。
まとめ:うまく噛み合う理由は、配送の前に「設計」があるから
岳建武氏の説明は、物流とECの成功を「現場の頑張り」だけに回収せず、ネットワークの配置と運用の連動として捉える点に特徴があります。2026年のいま、国際ニュースとしてこの分野を読むときは、“速いかどうか”に加えて、“どう設計されているか”を見ると、輪郭がはっきりしてきます。
Reference(s):
How do China's logistics and e-commerce work so well together?
cgtn.com








