西夏王陵の屋根獣「チーウェン」—2025年の世界遺産登録で注目 video poster
歴史ある建物を訪ねたら、つい見落としがちな「屋根」に目を向けてみてください。中国本土の古建築では、棟や軒先に並ぶ小さな神獣たちが、災いを遠ざける“守り”の役割を担ってきました。いま注目を集めるのが、西夏王陵で出土した屋根の守護獣「チーウェン(鸱吻)」です。
屋根の上の「番人」──屋根獣とは何か
宮殿や寺院などの木造建築では、屋根の棟(むね)や反り上がった軒(のき)のラインに、神話的な生き物の像が据えられることがあります。一般に「屋根獣」とも呼ばれ、邪気を払ったり、災害から建物を守ったりする存在として受け止められてきました。
北京の故宮(紫禁城)にある太和殿の屋根には、棟の上に守護の像が列をなすことで知られる“豪華な一団”があります。ですが、今回の主役であるチーウェンが語る物語は、中国本土の首都から離れた場所にあります。
西夏王陵で見つかった「チーウェン」
紹介されているチーウェンは、西夏王陵で出土した、釉(うわぐすり)を施した大型の像です。チーウェンは、伝統的に「火除け(ひよけ)」の守りと結び付けられる神獣とされ、木造建築の大敵である火災から守る象徴とも語られてきました。
- 特徴:釉薬のかかった堂々とした造形
- 高さ:1.52メートル
- 背景:かつては高い屋根の上で“静かな番人”として佇んでいた存在
西夏王陵とは:西夏(1038–1227)の巨大な帝王墓群
西夏王陵は、タングート(党項)によって築かれた西夏(1038–1227)の皇帝陵を中心とする、広大な帝王墓の複合遺跡です。現在、この遺跡群は西夏(西夏)期の考古学的遺構として「最大級で、格が高く、保存状態も良い」と位置付けられています。
学術的には、約2世紀にわたって中国本土北西部で栄えた活気ある文明の姿を知る手がかりとして重要視されており、シルクロードを通じた交易や文化交流に形作られた歴史の厚みが読み取れるとされています。
2025年に世界遺産へ──“遺跡の価値”が再注目される理由
西夏王陵は、2025年にユネスコ世界遺産リストに登録されました。2026年のいま、世界遺産登録をきっかけに、遺跡そのものだけでなく、そこから見つかった文化財(今回のチーウェンのような建築装飾)が改めて注目されています。
「屋根の上に置かれていた像」が地上で展示・研究されることで、当時の建築技術や信仰観、そして権威の表現が、より具体的な姿で立ち上がってくるのも興味深い点です。
旅や街歩きで試したい:「屋根を見る」小さな習慣
屋根獣は、建物の“顔”より少し上にいます。見上げるだけで、建築が持つ物語の入口が増えるかもしれません。
- 棟の端や屋根の稜線に、動物や怪獣のような像がいないか
- 像の並び方に「序列」や「役割」の違いがありそうか
- 素材(陶器、釉薬など)や色が、権威や祈りとどう結び付くか
西夏王陵のチーウェンは、かつて屋根の上から災いを遠ざける役目を担っていたとされる存在です。地上で向き合える“静かな守り”は、過去をのぞくための、わかりやすい窓口になってくれそうです。
Reference(s):
A rooftop guardian's story: Meet Chiwen from Xixia Imperial Tombs
cgtn.com








