中国本土2隻目の国産大型クルーズ船が上海で浮上、3月20日ドックアウトへ video poster
中国本土で2隻目となる国産大型クルーズ船「Adora Flora City(アドラ・フローラ・シティ)」が、上海のドックで浮上工程を完了しました。船体の“組み立て中心”から“内装・艤装(ぎそう)中心”へと作業が切り替わる節目で、海洋経済(ブルーエコノミー)の拡大とも重なる動きとして注目されています。
「浮上完了」は何を意味するのか
今回の浮上は、ドック内で建造してきた船体を水に浮かべ、次の工程へ進める重要ステップです。発表によると、Adora Flora Cityは浮上後に前方ドックへ移動し、傾斜試験(インクリネーションテスト)に入ります。
傾斜試験は、船の重量や重心位置を精密に把握するための作業で、安定性だけでなく、航行中の揺れ方など乗客の快適性にも関わるとされています。
今後の工程:7日間の作業、3月20日にドックアウト予定
今回のドックアウト関連作業は7日間を予定。期間中、エンジニアが以下の検証も進めるとされています。
- 救命艇の投下(リリース)試験
- ドック内クルージング(ドック内での試運転)
- 大型救命艇18隻と救助艇2隻の通常・非常時の性能確認
スケジュールとしては、3月20日に正式ドックアウト、5月下旬に海上試運転、そして2026年末までの引き渡しが見込まれています。
海洋経済の数字が示す「次の成長フェーズ」
Adora Flora Cityの進展は、中国本土の海洋経済が「高品質な成長」へ移行しているという説明とも並行します。2026年の「両会(全国人民代表大会・政治協商会議)」の閣僚取材で、自然資源相の関志鴎(Guan Zhi’ou)氏は、2025年の海洋総生産(GOP)が11兆元(約1.6兆ドル)を超え、国内総生産(GDP)の7.9%を占めたと述べました。
同氏は、造船や海洋エンジニアリング装備が世界最大級の分野になっているとも言及し、海が開発の「戦略空間」になっているとの見方を示しています。
クルーズ産業は「観光」と「製造業」が同じ船に乗る
クルーズは観光サービスである一方、船体設計、内装、エネルギー・安全システム、港湾オペレーションなど、多層の産業が結びつく領域です。中国本土初の国産大型クルーズ船「Adora Magic City」は、商業運航開始後、累計100万人超の旅客を扱い、直近の春節(旧正月)休暇期に節目を迎えたとされています。
Adora Flora Cityが加われば、観光の受け皿が広がるだけでなく、国内サプライチェーンや安全基準の運用、船舶技術の蓄積がどう進むのかも焦点になりそうです。
今後の注目点:試運転の結果と「運航品質」
これからの山場は、海上試運転での性能確認と、引き渡しに向けた最終調整です。大型クルーズ船は、推進・操船性能に加えて、騒音・振動、避難導線、救命設備など“体験”と“安全”が同時に問われます。3月20日のドックアウト以降、公開される試験結果や運航計画が、海洋観光と先端造船の一体開発がどこまで進んでいるかを測る材料になりそうです。
Reference(s):
China's second large cruise ship float marks marine economy surge
cgtn.com








