中国の自然保護区規則が本日施行:二つのゾーンで「一律管理」から転換へ
中国で改正された「自然保護区規則」が、2026年3月15日に施行されました。二つのゾーンに分ける新しい枠組みと、季節や地域事情に応じた運用を組み合わせることで、厳格な生態系保護と住民の暮らしの両立をより現実的に探る動きとして注目されています。
なぜ今、自然保護区のルール改正なのか
今回の施行は、第14期全国人民代表大会で中国初の包括的な「生態・環境法典」が採択された流れの中に位置づけられています。自然保護区の現場では、保護の必要性が高い一方で、周辺地域の生活・生業、持続可能な発展の設計も同時に求められてきました。
中国メディアCGTNは、北京林業大学の生態・自然保護関連組織の学部長で教授の徐基良(Xu Jiliang)氏に取材し、改正の狙いを「硬直的な『一律』から、より科学的で人を中心に据えた運用へ」という転換として紹介しています。
ポイント1:新しい「二つのゾーン」構造
改正規則の柱の一つが、保護区内を二つのゾーンとして整理する考え方です。狙いは、保護の強度を一段階に固定せず、区域の性格に合わせて管理の精度を上げることにあります。
- 保護を最優先するゾーン:人の活動をより厳しく抑え、生態系の維持を中心に据える発想
- 調整・共存を図るゾーン:地域の実情に応じ、住民の生計や持続可能な利用の余地を組み込みやすくする発想
同じ保護区でも、自然条件や利用の歴史、集落の分布は一様ではありません。「区域ごとに守り方を変える」ための土台づくりが、二ゾーン化の要点と言えます。
ポイント2:「差別化」と「季節管理」で現場の運用を細かく
もう一つの柱が、差別化(状況に応じた管理)と季節管理です。これまでの「同じルールを通年で当てはめる」発想から、自然のリズムや人の営みの季節性を管理に織り込む方向性が示されています。
たとえば、同じ場所でも季節によって生態系の脆弱性が変わることがあります。そうした変化を前提に、時期に応じた管理強度の調整を行う設計は、保護の実効性と社会の納得感の両方に関わってきます。
「守る」だけでなく、「暮らし」と並べて考えるというメッセージ
徐氏の説明として紹介されたのは、厳格な保護を維持しながらも、住民の生活や地域の持続可能な発展を同時に視野に入れるという考え方です。自然保護区は、人の立ち入りをただ減らすだけではなく、周辺コミュニティとどのように共存するかが問われます。
現場では、保護の強化が「規制」だけとして受け止められると摩擦が生じやすくなります。一方で、管理を緩めすぎれば保護の目的が揺らぎます。今回の改正は、その間にあるグラデーションを制度として扱おうとする動きとして読めます。
今後の注目点:ルールが「運用」でどう生きるか
制度設計が変わると、次に焦点になるのは運用です。二ゾーンの線引きや、差別化・季節管理を実際にどう適用するかによって、保護と暮らしのバランスは大きく変わり得ます。
- ゾーン区分の基準が、地域の自然条件や生活実態をどこまで反映するか
- 季節管理が、現場の監督・説明とセットでどれだけ機能するか
- 持続可能な発展(保護と経済・生活の両立)の具体策がどう積み上がるか
「一律」から「科学的で人を中心に据えた管理」へ――。本日施行された改正規則は、自然保護をめぐる国際ニュースとしても、制度と現場の距離の取り方を考えさせるテーマになりそうです。
Reference(s):
How China's new nature reserve regulations reshape human–nature ties
cgtn.com








