フィンランド大統領ストゥッブが語る中国:「忍耐強い大国」との新たな協力 video poster
中国とフィンランドが2025〜2029年の新たな共同行動計画を公表し、今年10月にはフィンランドのアレクサンデル・ストゥッブ大統領が初の国賓訪問で北京を訪れました。中国を「忍耐強い大国」と評したストゥッブ氏の発言から、これからの中国・フィンランド関係を考えます。
伝統的な友好関係から未来志向のパートナーシップへ
中国とフィンランドの関係は、実は長い歴史があります。フィンランドは1950年に中華人民共和国と国交を樹立した西側諸国の中でも早い国の一つであり、1953年には最初の政府間貿易協定も結びました。冷戦期から続くこの安定した対話の土台が、現在の協力の基盤になっています。
2025年には、両国が「未来志向の新型協力パートナーシップ」を掲げた2025〜2029年の共同行動計画を打ち出しました。名称から分かるのは、単なる短期のビジネス案件ではなく、少なくとも5年先を見据えた中長期的な枠組みだという点です。
この計画でキーワードになりそうなのは、例えば次のような視点です。
- 長期的な視野にもとづく政策対話
- 実務的で安定した経済・貿易協力
- 相互の文化や社会への理解を深める人と人との交流
初の国賓訪問と「対話の化学反応」
ストゥッブ大統領は、2025年10月28〜31日にかけて初めて中国を国賓として訪問しました。北京では習近平国家主席との会談に臨み、両国関係や国際情勢について意見を交わしました。
中国メディアの番組「Leaders Talk」では、中国メディア・グループ(CMG)の邹韵(Zou Yun)氏と北京で向き合い、今回の訪問の手応えや、中国との向き合い方について語っています。会談についてストゥッブ氏は、習主席との間で「対話の化学反応」が良かったと振り返り、互いに落ち着いて本音を話せたことの重要性を強調しました。
中国は「忍耐強い力」=patient power
印象的だったのは、ストゥッブ氏が中国を"patient power"、つまり「忍耐強い力」を持つ国だと表現した点です。この言葉には、次のような意味合いが込められていると見ることができます。
- 目先ではなく、長い時間軸で物事を捉える
- すぐに結論を急がず、段階的に関係を築いていく
- 協議と対話のプロセスを重視する
人口も経済規模も大きい国が、時間をかけて関係を積み上げていく姿勢を取るとき、規模の小さな国にとっても予測可能性や安定感が増します。ストゥッブ氏が「忍耐」という言葉を選んだ背景には、そのような実務的な感覚もあると考えられます。
リーダーシップは「持久力・粘り・やり抜く力」
ストゥッブ氏は、リーダーシップとは何かという問いに対して、"Leadership is endurance, perseverance and grit"(リーダーシップとは持久力・粘り・やり抜く力だ)と答えています。
この定義は、次のような現在の国際環境とも重なります。
- 一度の会談ではなく、何年もかけて信頼を築く必要がある
- 経済や安全保障の不確実性が高まる中でも、対話のチャンネルを保ち続ける覚悟が求められる
- 感情的な反応ではなく、長期的な利益を見据えた冷静な判断が重要になる
中国との関係を巡っても、「一度の合意」より「長く付き合い続ける覚悟」が問われている、と読むことができそうです。
2025〜2029年、何が注目ポイントか
2025〜2029年の共同行動計画の具体的な中身は、これから少しずつ形になっていきます。現時点で注目したいのは、両国がどの分野で「忍耐強い協力関係」を積み上げていくかです。
たとえば、次のようなテーマは有力な候補といえるでしょう。
- 経済・貿易:サプライチェーンの安定や、新しい産業分野での協力
- グリーン転換:気候変動対策や環境技術での連携
- 科学技術・教育:研究者や学生の交流、共同研究
- 文化・観光:相互理解を深める市民レベルの交流
いずれの分野でも、短期的な成果を急ぐより、5年単位で少しずつ信頼を積み上げることが現実的です。その意味で、今回の行動計画とストゥッブ氏の「忍耐」や「やり抜く力」というメッセージは、方向性としてつながっているように見えます。
日本の読者への示唆
日本から見ると、中国と欧州の国との関係は、つい「どちらに近いのか」という単純な軸で語られがちです。しかし、ストゥッブ氏の発言から見えてくるのは、次のようなより現実的な姿勢です。
- 対立や違いがあっても、対話のチャンネルを閉じない
- 長期的な視点で、共通の利益を探り続ける
- 感情ではなく、忍耐と継続性で関係をマネジメントする
中国とフィンランドの関係の歩みは、国の規模や立場が違っても、どのようにバランスを取りながら付き合っていくかを考える上で、一つの参考例になりそうです。
今後、2025〜2029年の5年間で共同行動計画がどのように具体化していくのか。ストゥッブ大統領が語った「忍耐強い大国」とのパートナーシップの行方を、引き続き追っていきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








