米大統領選・トランプ vs ハリス 対中通商政策は何が違う? video poster
2025年12月現在、米国では次期大統領をめぐる選択が大きな注目を集めています。とくに、中国との通商関係をどう扱うのかは、世界の貿易と投資に直結する重要なテーマです。
前大統領のドナルド・トランプ氏は、再び積極的な高関税政策に踏み切る姿勢を示している一方、副大統領のカマラ・ハリス氏は、バイデン政権が掲げてきた「小さな庭と高い塀(small yard and high fence)」という、対象を絞った規制の継続が予想されています。
この記事では、両者のアプローチの違いを整理し、「どちらが中国にとって、そして世界経済にとってより大きな影響を持つのか」「有権者や企業にとって本当に違いがあるのか」を考えます。
なぜ対中通商政策がここまで重要なのか
米国と中国の通商政策は、両国だけでなく、アジアやヨーロッパを含む世界のサプライチェーン全体に波及します。関税や輸出規制が変われば、企業の調達コストや生産拠点の配置、投資計画が見直されるからです。
そのため、2025年の米大統領選では「誰が中国に対してより厳しいのか」というイメージだけでなく、どのような手段で関係をコントロールしようとしているのかが、各国の政府や企業から注視されています。中国側もまた、今後の通商環境を見極める上で、トランプ氏とハリス氏のスタイルの違いを慎重に見ているとみられます。
トランプ氏:幅広い「高関税」で圧力をかける発想
トランプ氏は、前政権での経験を踏まえ、再び攻撃的な関税政策に戻る姿勢を示しています。これは、幅広い輸入品に対して高い関税をかけることで、交渉上のテコにしようとするアプローチです。
高関税アプローチの特徴
- 対象範囲が広く、日用品から資本財まで幅広い品目が影響を受けやすい
- 企業や消費者にとってコスト増につながる一方、「分かりやすい圧力」として国内向けにアピールしやすい
- 中国だけでなく、世界各地の企業がサプライチェーンを組み替える必要に迫られる可能性がある
高関税は、短期間でインパクトが見えやすい反面、予測が難しく、貿易相手国との関係が不安定になりやすいという側面もあります。
ハリス氏:バイデン路線の「小さな庭・高い塀」を維持
一方のハリス氏は、現政権が掲げる「small yard and high fence(小さな庭と高い塀)」戦略を引き継ぐとみられています。これは、すべての分野で広く規制をかけるのではなく、範囲を絞り込んだうえで強い制限をかける考え方です。
「小さな庭・高い塀」アプローチの特徴
- 対象は安全保障上重要とみなされる技術や製品など、限定された分野に集中する
- 一般的な貿易は可能な限り維持しつつ、特定分野では厳しい輸出・投資制限をかける
- 企業にとってはルールが細かく、コンプライアンス(法令順守)対応が重くなる一方、関税全体の水準が急激に変わるリスクは比較的抑えられる
このアプローチは、米国の技術や供給網を保護しつつ、必要な部分では中国との経済関係を続けることを意図した「選択的な制限」といえます。
どちらが中国と世界貿易に大きな影響を与えるのか
トランプ氏とハリス氏の対中通商政策は、「どちらがより厳しいか」という単純な比較だけでは測りきれません。影響は少なくとも次の三つの観点から異なってきます。
- 影響の広さ:高関税は多くの品目に波及しやすく、中国の輸出産業だけでなく、米国や第三国の企業にも広範な影響が出る可能性があります。
- 影響の深さ:「小さな庭・高い塀」は対象分野こそ限られるものの、その分、特定の産業や技術領域に深く長期的な変化をもたらしやすいと考えられます。
- 予測可能性:高関税は政治情勢によって大きく変動しやすいのに対し、対象を絞った規制は制度として継続しやすく、企業にとっては中長期の計画を立てやすい面もあります。
中国と米国の通商関係は、どちらのアプローチにおいても引き続き重要であり、世界の貿易構造に影響を与えることに変わりはありません。ただし、その影響の出方やスピードは大きく異なり得ます。
日本やアジアの企業が押さえておきたいポイント
日本やアジアの企業にとって、米大統領選の結果は「どちらが勝つか」だけでなく、「どのような形で米中間の通商環境が変わるか」が重要です。
- トランプ氏の高関税路線の場合、中国本土経由の製品だけでなく、米国向けの最終組立をどこで行うかが改めて問われる可能性があります。
- ハリス氏が「小さな庭・高い塀」を続ける場合、特定分野の技術や部材に関する規制内容を細かく確認し、コンプライアンス体制を強化する必要が出てきます。
- いずれのケースでも、サプライチェーンの多元化や、米中のどちらにも過度に依存しない事業設計が、これまで以上に重要になっていきそうです。
「結局あまり変わらない」わけではない
「誰が大統領になっても対中政策は厳しいまま」という見方もあります。実際、トランプ氏もハリス氏も、中国との通商をめぐる課題を重く受け止めている点では共通しているといえます。
しかし、手段が違えば企業の受ける影響も変わります。広く速く効く高関税か、狭く深く効く選択的な規制か──。2025年の米大統領選は、中国と米国だけでなく、日本を含む多くの国・地域の経済戦略にとっても、重要な分岐点となりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








