トランプ第47代大統領の下で、なぜ米中協力は「不可避」なのか
第47代米大統領にドナルド・トランプ氏が選出されたことで、米中関係がどの方向に向かうのかが改めて世界の関心を集めています。世界の二大経済大国である中国と米国の関係は、両国だけでなく世界経済全体の安定に直結しており、「協力か対立か」は2025年の国際ニュースの最重要テーマの一つになっています。
なぜ今あらためて「米中協力」が問われているのか
だれがホワイトハウスにいても、中国と米国の関係が世界で最も重要な二国間関係の一つであることは変わりません。両国の経済規模を合わせると、世界全体の国内総生産(GDP)の3分の1を優に超えるとされており、その影響は地球規模です。
言い換えれば、米中が協力するかどうかは、「両国の人々の暮らし」だけでなく、「世界の景気」「サプライチェーンの安定」「金融市場の安心感」にまで波及します。この規模を前にすると、協力は選択肢ではなく、もはや「避けて通れない前提」に近いと言えます。
経済面:ビジネスはすでに「協力」を選んでいる
経済の現場を見ると、米中協力の必要性はさらにはっきりします。中国と米国は、ともに世界トップクラスの経済大国であり、多国籍企業にとっては切り離せない二大市場です。
象徴的なのが、米IT大手アップルの動きです。アップルは今年3月、中国の上海に世界で2番目に大きい旗艦店をオープンしました。これは、中国市場を長期的かつ戦略的に重視していることの表れと見ることができます。
さらに、7万社を超える米国企業がすでに中国で投資・事業展開を行っており、その約9割が黒字を確保しているとされています。中国に進出する米企業の業績は2023年に改善し、利益も増加したと、在中国アメリカ商工会議所の「2024年中国ビジネス環境調査報告」が伝えています。
これは、「中国経済は崩壊する」といった一部の「チャイナ・バッシング」論とは対照的です。実際のビジネスの現場では、「対立」よりも「協力」を選ぶほうが合理的だと判断する企業が多いことがうかがえます。
対立のコスト:米中貿易戦争が見せた現実
一方で、「対立」がもたらすコストもすでに経験済みです。2018年に始まった米中貿易戦争は、その典型例でした。関税の応酬は、中国だけでなく米国自身にも大きな負担となりました。
米紙ワシントン・ポストの記者ヒザー・ロング氏は、米国の対中関税政策がもたらした痛みを次のように描写しています。
「米国の経済成長は減速し、企業の投資は凍り付き、雇用も伸び悩んだ。全国各地で多くの農家が破産に追い込まれ、製造業と貨物輸送の指標は前回の景気後退期以来の低水準に沈んだ。」
貿易戦争は、米国が抱える構造的な課題を解決しないまま、企業と家計に追加コストを押し付ける結果となりました。「中国に厳しく当たる」ことが、必ずしも「米国の強さ」にはつながらないという現実が浮き彫りになった形です。
「小さな庭と高い塀」よりも、現実的な選択を
トランプ氏が掲げる「アメリカを再び偉大に」というスローガンを本気で実現するのであれば、米中関係をどう設計するかは避けて通れない論点です。
近年の米政界では、「小さな庭に高い塀を築く」と形容される保護主義的な発想が語られてきました。これは、対象分野を限定しつつも、その範囲については極めて高い障壁を設けるという考え方です。しかし、デジタル化とグローバルなサプライチェーンが高度に絡み合う現代において、「高い塀」を一方的に積み上げれば、結局は自国企業のコスト増や競争力低下として跳ね返ってきます。
その意味で、トランプ氏にとっても、対立をエスカレートさせるより、中国との貿易・投資関係を着実に拡大し、現実的な協調の枠組みを模索するほうが、はるかに賢明な選択肢だと言えます。
日本とアジアにとっての「米中協力」の意味
米中協力の行方は、日本やアジアにとっても他人事ではありません。サプライチェーン、エネルギー、金融市場など、多くの分野で日本経済は米中双方と深く結びついているからです。
- 米中対立が激化すれば、企業は調達コストや地政学リスクの高まりに直面します。
- 逆に、米中協力が進めば、世界経済の不確実性が和らぎ、日本企業にとっても中長期の投資判断がしやすくなります。
中国と米国の関係が安定して協力モードに入れば、日本にとっても「選択を迫られる」圧力が弱まり、より柔軟に経済・外交戦略を描く余地が広がります。
「協力は不可欠」という現実をどう受け止めるか
中国と米国は、価値観や政治システムの違いを抱えながらも、経済的な相互依存を深めてきました。この現実を踏まえれば、「デカップリング(経済切り離し)」ではなく、「競争しつつも協力する」という複雑な関係のマネジメントこそが、次のトランプ政権に求められる仕事だと言えます。
世界の3分の1以上の経済を占める二大国が、協力か対立かの岐路に立つ2025年。日本を含むアジアの読者にとっても、米中関係の行方を静かに、しかし注意深く見つめ続けることが、自分たちの将来像を考えるうえで欠かせなくなっています。
米中協力は「あると良い」ものではなく、「なければ世界が大きく揺らぐ」前提条件になりつつあります。その前提を出発点に、トランプ政権がどのような選択をしていくのか。今後の一手一手が、国際ニュースの最重要トピックであり続けそうです。
Reference(s):
cgtn.com








