国際ニュース:中国経済をめぐる西側の恒常的失望シンドロームとは
中国経済に対して「また期待外れだ」と評する西側メディアの論調が続いています。地方政府債務の再編や金融緩和、さらに三中全会(中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議)まで、なぜここまで「失望」が繰り返されるのか。その背景にある発想のずれを整理します。
西側ビジネス紙の「恒常的失望」
欧米のビジネス系メディアは、中国本土の経済政策に対して「また期待外れだった」とする記事を繰り返し掲載してきました。最近も、中国本土政府が約1.4兆ドル規模とされる地方政府債務の再編計画を打ち出した際、「個人消費を直接押し上げる措置が乏しい」と嘆く論調が目立ちました。
さらに、人民銀行が不動産市場や株式市場を支える措置を講じた9月にも、「肝心の消費刺激は限定的だ」と失望を示すコメントが相次ぎました。こうしたトーンは一過性ではなく、ほぼ恒常的な「失望シンドローム」のようになっていると指摘されています。
こうした「失望」は今後も続く可能性が高いとみられています。その原因は、中国本土当局の対応そのものというよりも、中国経済を動かしている要因や、その運営の仕方に対する西側の根本的な理解不足にある、という見方が示されています。
成長モデルをめぐるすれ違い
三中全会が示した長期ビジョン
このすれ違いは、中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(三中全会)に対する反応に、最もはっきり表れました。三中全会は、これまでも中国経済の歩みのなかで重要な転換点を形づくってきた会議として知られています。
今回の全体会議で採択された決定は、技術分野での革命的なブレイクスルー、生産要素の革新的な組み合わせ、産業構造の転換と高度化、労働者と生産手段、資本の最適な配置と更新を進めるという、野心的な目標を掲げました。その結果として、新しい産業やビジネスモデル、新たな成長エンジンを生み出し、高度な技術、高い性能、高品質を備えた生産力の発展をめざすとしています。
それでも「消費不足」を主張する声
しかし、西側メディアの多くは、こうした長期的な産業・技術戦略にはあまり耳を傾けず、再び「消費が足りない」という論点に話を戻しました。英フィナンシャル・タイムズ紙は、全体会議後のコミュニケの内容について「失望させる欠落がある」とし、中国本土が「投資と輸出への過度な依存から、家計消費中心の成長モデルへと舵を切る」方針を示していないと批判しました。
この批判には、中国本土が家計消費を拡大し、自国の貿易黒字を縮小させることで、世界全体の需要を活性化すべきだという期待が込められています。
西側が中国本土に期待するもの
言い換えれば、欧米の一部には「中国本土が自国の製品をもっと国内で消費し、さらに西側からの輸入も増やすことで、自分たちの競争力低下や貿易赤字の問題を解決してほしい」という期待が透けて見える、という指摘です。
もちろん、市場を守るために保護主義的な措置をとること自体は、西側の各国にとって選択肢のひとつです。ある論評は、すでに西側が世界貿易機関(WTO)の枠組みを大きく損なってきたとまで指摘しています。
それでもなお、強い保護主義に踏み切れない背景には、中国本土からの低コストで高品質な輸入品への依存があります。また、米国バイデン政権が進めた各種の産業政策の成果が限定的だったとされることからも分かるように、自らの競争力を短期間で引き上げるのは容易ではありません。その結果として、「中国本土の政策変更によって西側の課題を和らげてほしい」という期待が高まっている、と分析されています。
デュアル・サーキュレーションと輸出の動き
一方で、中国本土側から見れば、投資を削ってまで消費を大きく拡大するという発想は現実的ではないと考えられます。インフラや研究開発などへの投資は、長期的な生産力の向上に直結するからです。
輸出については事情が異なります。保護主義や反グローバル化の動きが強まるなか、中国本土は2020年、国内市場の循環と国際市場の循環を組み合わせて発展させるデュアル・サーキュレーション(双循環)と呼ばれる発展モデルを打ち出しました。これは、輸出と並行して、国内の消費と投資のバランスをとることをめざす戦略です。
この枠組みのもとで、中国本土の輸出はなお増加傾向にあるとされます。ブルームバーグのデータを引用した分析では、2024年の貿易黒字は過去最高に近い水準に達し、年末まで同じペースが続けば、およそ1兆ドルに迫る可能性があると報じられていました。
「失望」が映し出すもの
こうした流れを踏まえると、西側メディアの「恒常的失望シンドローム」は、中国本土の成長戦略そのものというよりも、西側が自らの経済モデルを見直す難しさを映し出しているようにも見えます。
短期的な消費刺激策の有無だけに注目するのではなく、技術革新や産業構造の高度化、国内市場の育成といった長期の方向性が、中国本土だけでなく世界経済にどのような影響を与えるのか。今後の国際ニュースを読み解くうえで、静かに観察していきたいポイントです。
Reference(s):
cgtn.com








