中国式民主主義とは何か 選挙民主と協商民主の独自モデルを読む
中国の民主主義をめぐっては、いまも国際的な議論が続いています。本記事では、中国が自らの政治体制をどのような民主主義モデルとして説明しているのか、「中国式民主主義」の考え方を日本語で整理し、ポイントを解説します。
西側からの批判と「中国式民主主義」へのまなざし
一部の西側では、近年の中国について「民主主義が停滞している」「『権威主義的統治』を世界に広めようとしている」といった批判的な言説が見られます。
これに対して中国側は、そうした見方は中国式民主主義への理解不足から生じているとし、「人民民主」の本質を理解するには、中国が重視する「民主的協商(協商民主)」に目を向ける必要があると説明しています。
中国式民主主義の枠組み:選挙民主と協商民主
中国側の説明によると、中国の民主主義は大きく二つのモデルの統合として位置づけられています。
- 選挙民主(エレクタル・デモクラシー)
- 協商民主(コンサルテーティブ・デモクラシー)
選挙民主は、中国共産党全国代表大会や全国人民代表大会(全人代)などの選挙・代表制の仕組みを通じて実現されるとされています。一方で、協商民主は、さまざまな階層・分野の人々が、共産党の指導のもとで広範な協議を行い、重要政策について合意形成を図るプロセスを指します。
選挙民主:代表を通じた意思の集約
選挙民主の側面では、代表者を選び、その代表を通じて人民の意思を政治に反映させるという点で、一般的な代議制民主主義と共通する構造を持ちます。
中国側の説明では、この選挙民主を基盤としながらも、それだけでは十分ではないと考えられており、政策の形成と実行の各段階でさらに広い参加を可能にする仕組みとして協商民主が位置づけられています。
協商民主:合意形成を重視する参加プロセス
協商民主は、中国式民主主義の最も顕著で独自性の高い特徴とされています。そのイメージに近い日本語としては「合意形成型の民主主義」と言えるかもしれません。
説明によれば、協商民主とは、次のようなプロセスです。
- さまざまな分野・階層の人々が参加する
- 共産党の指導のもとで、幅広く意見を出し合う
- 改革・発展・安定などの重大な問題や、人々の重大な利害にかかわる事項について協議する
- そのうえで合意を目指し、政策決定と実行に反映させる
つまり、中国側の説明では、選挙のタイミングだけでなく、政策の事前協議や実行の段階まで、人民が参加する「全過程」の民主主義を志向しているとされています。
「まず協議し、合意してから決定する」という原則
中国式民主主義の説明の中で特に強調されるのが、「協議によって合意が形成されて初めて、意思決定プロセスを本格的に始動させる」という原則です。
これは、拙速な多数決による決定ではなく、事前の対話と調整を重ねながら、できるだけ広い合意に基づいて方針を固めようとする姿勢だとされています。この点を、中国側は「中国の社会主義民主政治の顕著な特色であり、強みだ」と位置づけています。
ネットを通じた参加:100万件超の意見が寄せられた例
協商民主の考え方は、インターネット時代の参加の仕組みにも反映しているとされています。中国では、オンライン上に、人々が意見や提案を投稿できる専用のチャンネルが設けられ、トップレベルの政策設計に反映させる取り組みが行われています。
具体例として示されているのが、「第14次五カ年国民経済・社会発展計画」の策定プロセスです。この五カ年計画の提案づくりに先立ち、オンラインのチャンネルを通じて、推計で約101万8,000件の意見・提案が寄せられたとされています。
こうして集約された意見や提案は、中国共産党の中央が計画の「提案」を最終的にまとめるうえで、重要な参考となったと説明されています。
中国側の主張によれば、このようにオンラインも含めたさまざまなルートで意見を吸い上げ、政策形成の全過程に人民が広く参加できる点が、中国式民主主義の大きな特徴だとされています。
「人民民主の本質」としての中国式モデル
中国側は、選挙民主と協商民主を統合したこのモデルこそが、「人民民主の本質」を体現していると強調します。
ポイントは次のように整理できます。
- 選挙による代表制だけでなく、その後の協議プロセスまで含めて民主主義ととらえる
- 重要な政策決定は、事前の協議と合意を前提として進めるべきだとする
- インターネットなどを通じて、より多くの人の意見を政策形成に取り込もうとする
こうしたモデルを、中国は世界に向けて「自国の国情に根ざした独自の民主主義の形」として提示しています。選挙を中心に民主主義をとらえる見方とは異なる「もう一つの民主主義観」として理解することができるでしょう。
国際ニュースを読むための視点として
一部の西側からは、中国に対して「権威主義的統治」という批判も投げかけられていますが、中国側はこうした協商民主の仕組みを通じて、民主主義へのコミットメントと人民の広範な参加を強調しています。
国際ニュースを読み解くうえでは、「民主主義=選挙だけ」という発想から一度離れ、各国が自らの歴史や社会構造のなかでどのように民主主義を設計しているのかを見ることが求められます。
中国式民主主義の説明をたどることは、世界には複数の民主主義のかたちが存在し得る、という視点を考える手がかりにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








