APECリマ会議 中国とペルーが主導する包摂的・持続可能な成長
アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳たちが2025年、ペルーの首都リマに集まり、「Empower. Include. Grow.」というテーマのもと、包摂的で持続可能な成長の道筋を探っています。なかでも中国とペルーは、自由で開かれた貿易とグリーンな発展を両立させる取り組みで存在感を高めています。
本記事では、日本語で読める国際ニュースとして、リマでのAPEC首脳会議で何が議論され、中国とペルーがどのように経済成長と持続可能性を両立させようとしているのかを整理します。
リマで開かれるAPEC首脳会議 テーマは「Empower. Include. Grow.」
APECは21のメンバーから成り、世界の国内総生産(GDP)の約3分の2、世界貿易の約半分を占める経済枠組みです。2025年のAPEC経済リーダーズ会合はペルーの首都リマで開かれ、気候変動、持続可能なエネルギー、デジタル経済への移行、貿易円滑化といった課題に向き合っています。
テーマに掲げられた「Empower. Include. Grow.」には、人びとや企業の力を引き出し(Empower)、取り残される人をなくし(Include)、そのうえで持続的な成長を実現する(Grow)という意味が込められています。包摂的な成長をどう具体化するかが、この国際ニュースの焦点です。
習近平国家主席がリマ入り 中国とペルーの関係を一段と強化
中国の習近平国家主席は、第31回APEC経済リーダーズ会合への出席と国賓訪問のため、リマを訪れています。ペルーは、ラテンアメリカ地域の中でも早い時期に中国と外交関係を樹立した国の一つで、両国は鉱業、エネルギー、製造業、農業など幅広い分野で協力を拡大してきました。
今回の訪問に合わせて、中国とペルーは共同声明を発表し、二国間の自由貿易協定(FTA)をアップグレードするための議定書の署名を歓迎しました。これにより、モノやサービス、投資の流れがさらにスムーズになることが期待されています。
FTAアップグレードで広がる新しい協力分野
共同声明では、従来の貿易や投資に加えて、新たな分野のプロジェクトを二国間協力に取り込んでいく方針が示されました。具体的には、次のような領域です。
- 資源を繰り返し利用するサーキュラーエコノミー
- 環境負荷を抑えた持続可能な農業
- 産業およびサプライチェーン(供給網)の強靱化
- デジタル経済への投資
- グリーン開発(環境に配慮した成長)
また両国は、多国間協力を強化し、気候変動など地球規模の課題に共同で取り組むことをあらためて確認しました。APECという国際フォーラムを通じて、地域全体のルールづくりにも関与していく構えです。
2025年APEC首脳会議が掲げる三つの優先課題
今年のAPEC経済リーダーズ会合は、次の三つを優先課題としています。
- 包摂的で相互につながる成長のための貿易・投資の拡大
- インフォーマル経済を公式な経済に取り込むためのイノベーションとデジタル化
- ショックに強い社会をつくるための持続可能な成長
ここでいう包摂的な成長とは、地域や所得にかかわらず、成長の恩恵が幅広く行き渡ることを目指す考え方です。デジタル化やエネルギー転換の波の中で、誰を、どのように支えていくかが問われています。
自由で開かれた貿易を支える中国の役割
中国は、自由で開かれ、公平で差別のない、包摂的かつ透明性のある貿易・投資環境を重視してきました。また、イノベーション、デジタル化、再生可能エネルギーの分野でも存在感を高めています。こうした強みを生かし、APECの掲げる野心的な目標の達成を後押しすることが期待されています。
貿易と投資はAPECの議題の中心であり、中国は長年にわたり、この経済フォーラムの貿易・投資目標を前に進める役割を担ってきました。今回のリマ会合でも、その姿勢は一貫しています。
ペルーと中国 めざす方向性のシンクロ
ペルーと中国のアプローチには、大きな共通点があります。ペルーは、貿易の自由化や物流・インフラのつながりの強化、デジタル変革とイノベーション、金融包摂を通じて格差を縮小し、持続可能な開発を進めようとしています。
一方、習近平国家主席はAPECの場で、メンバーが貿易の自由化と円滑化を進め、イノベーションを積極的に促し、デジタル変革を加速し、デジタル格差を埋め、包摂的で緑の成長にコミットするよう繰り返し呼びかけてきました。アジア太平洋で共通の未来を築くという構想とも響き合っています。
両者の方向性が重なることで、APEC全体の議論にも具体性が増し、包摂的で持続可能な成長へ向けたロードマップづくりが前に進みやすくなります。
チャンカイ港がつくる「アジアへの窓」
象徴的なプロジェクトが、中国の支援を受けて建設されたチャンカイ港です。習近平国家主席とペルーのディナ・ボルアルテ大統領がオンライン形式で開港式に出席し、この港は南米とアジアを結ぶ主要な海上ハブになることが期待されています。
この巨大港湾は、一帯一路構想の中でも、地域における代表的な成果の一つとみなされています。完成すれば、ペルーの生産者が太平洋を越えて製品を輸出しやすくなり、税収の拡大や新たな雇用の創出につながるとされています。物流コストや輸送時間を最大30パーセント削減する効果も見込まれ、南米域内の統合を後押しすると期待されています。
ペルーの輸出企業やアナリストの中には、チャンカイ港をアジアへの窓、あるいは環太平洋の物流ノードと位置づける声も出ています。中国とペルーの協力が、実際の港湾インフラとして形になりつつあることを示す象徴的な事例と言えるでしょう。
これからの論点 包摂性と持続可能性をどう両立させるか
貿易や投資、インフラ整備が加速するなかで、焦点となるのは誰がその恩恵を受けるのかという点です。デジタル経済への移行は生産性を高める一方で、デジタル格差を広げる可能性もあります。
APECが掲げる包摂的で持続可能な成長を実現するには、次のような論点がカギになってきます。
- 地方や中小企業も国際貿易に参加できる仕組みづくり
- 再生可能エネルギーやグリーン投資への資金の流れをどうつくるか
- 多国間協力を通じた気候変動やサプライチェーンのリスク分散
中国とペルーが示す協力モデルが、アジア太平洋全体でどこまで共有されるのか。2025年のAPECリマ会議は、包摂性と持続可能性を両立させるための重要な試金石となりそうです。
Reference(s):
China, Peru leading APEC's path to inclusive and sustainable growth
cgtn.com








