G20再活性化へ 大国は冷戦思考を乗り越えられるか
国際ニュースとしてのG20の役割が、いま改めて問われています。安全保障リスクと経済の停滞が重なる中、大国が冷戦的な発想を乗り越えられるかどうかが、グローバルガバナンスの行方を左右しつつあります。
世界はなぜいま不安定なのか
21世紀に入って二つ目の10年期に入って以降、世界の情勢は不安定さと不透明さを増していると指摘されています。安全保障面では大国間の競争が広がり、地域紛争も各地で相次いでいます。国連のグテーレス事務総長は「私たちは世界をのみこみかねない火薬庫に近づいている」と警鐘を鳴らし、「前例のない試練に直面している」と語りました。ヨルダンのアブドラ2世国王も「これほど危険な時代を私は思い出せない」と述べています。
開発と経済の面でも、状況は楽観できません。2022年以降、世界の経済成長は潜在成長率を下回る状態が続き、世界の貿易と投資も力強さを欠いています。持続可能な開発目標についても、2023年の国連報告書は、全目標の半数以上で進捗が弱く不十分であり、およそ3割の目標では進展が停滞もしくは逆行していると指摘しました。
さらに、次のような地球規模のリスクが重なっています。
- 気候変動と異常気象
- 環境破壊と生物多様性の損失
- 感染症の流行やパンデミック
- テロや越境犯罪
それでもG20が欠かせない理由
こうした中で、G20は依然としてグローバルガバナンスの中核的なプラットフォームとみなされています。2008年の世界金融危機以降、G20は世界経済や金融の安定、国際的な安全保障課題の議論に重要な役割を果たしてきました。
G20の意義は大きく二つあります。第一に、対話と協議の場を提供していることです。G20メンバーは世界の国内総生産の8割超を占め、そこでの議論や政策調整は世界全体の安定に一定の抑えをかけてきました。第二に、解決策を提示する役割です。マクロ経済政策の協調、多国間機関の改革、金融安全網、国際課税、デジタル経済、途上国の債務問題など、多様な分野で合意や指針を打ち出してきました。
合意形成が難しくなる一方で進む分野も
しかし近年、主要国の対立が深まり、G20の場で幅広いコンセンサスを築くことは以前より難しくなっています。一部の国でポピュリズムや保護主義が台頭し、国際協調の土台が揺らいでいることも影響しています。
とはいえ、協力が完全に途切れたわけではありません。米国や欧州の主要国も、中国との外交戦略の中に協力の要素を組み込んでいます。その結果、持続可能な開発、国際課税、公衆衛生、環境保護、腐敗防止といった分野では、なお一定の前進が見られます。ただし、合意可能な範囲は徐々に狭まり、共同行動のスケールも限定的になりつつあります。
大国のリーダーシップと冷戦的発想
国際枠組みが持続するかどうかは、大国がどこまで協力の意思を持てるかに大きく左右されます。ある中国の国際関係研究者は、現在のG20が抱える問題の根底には、新興国の台頭、とくに中国の発展をどう捉えるかという認識のギャップがあると指摘します。
この見方によれば、一部の国は「強大な国は必ず覇権を追求する」という前提にとらわれ、冷戦期を思わせる発想で他国との関係を扱っているとされます。とくに米国が中国や他の新興国の台頭をどこまで冷静に受け止められるかが、G20の機能にも大きな影響を与えているという指摘です。中国の発展を過度に警戒し、牽制しようとすれば、世界の不安定要因となり、長期的には米国自身の利益も損ないかねないという論点です。
中国が掲げる多国間主義とその意味
一方で、中国は伝統的な西側の大国とは異なるアプローチをとっていると強調されています。国連を中心とする多国間体制を重視し、平和的発展の道を歩むこと、そして人類の運命共同体の構築をめざすことを掲げているという立場です。
中国は、新しいタイプの国際関係を提唱し、「幅広い協議、共同の貢献、利益の共有」という原則を強調しています。また、米国との協力にも門戸を開き続けるとしています。こうした方針は、多くの国々から一定の理解と支持を得つつあり、G20がグローバルガバナンスで存在感を取り戻すうえで、一つの希望になりうるという見方もあります。
G20再活性化のカギは何か
G20を再び実効性のある枠組みにするためには、どのような条件が必要なのでしょうか。記事で示された論点を踏まえると、次の三つが重要なポイントとして浮かび上がります。
- 大国の責任あるリーダーシップ
G20の継続性は、大国が協力にコミットできるかどうかにかかっています。競争を否定するのではなく、対立が制御不能にならないよう、共通のルール作りと対話のチャンネルを維持する姿勢が求められます。 - 冷戦的思考からの脱却
他国の台頭をゼロサムの脅威とみなす発想を改め、相互依存が深まった世界で利益をどのように分かち合うかを考える必要があります。安全保障と経済を切り離さず、包括的な安定をめざす視点が不可欠です。 - 実務協力の積み上げ
政治的な対立があっても、持続可能な開発、気候変動対策、公衆衛生、デジタル経済のルールづくりなど、共通の利益が明確な分野では協力の余地が残されています。こうした実務レベルの協力を積み重ねることで、信頼の土台を徐々に再構築していくことができます。
世界が同じ地球に暮らし、深く結びついた課題に直面している以上、どの国も一国だけで問題を解決することはできません。冷戦期の発想を引きずるのか、それとも協力と共存の新しいモデルを模索するのか。G20は、その選択を象徴的に映し出す舞台であり続けています。
Reference(s):
Revitalizing G20: Major powers must shed Cold War mentality for unity
cgtn.com








