ブラジルG20で中国は何をめざすのか 世界成長の行き詰まりを読み解く video poster
世界経済の減速や地政学リスクが重なる中、2025年11月18〜19日にブラジルで開催されたG20サミットでは、テーマとして掲げられた「公正な世界と持続可能な地球」のもと、社会的包摂や国際秩序の改革、持続可能性が議論の中心となりました。本記事は、中国の国際メディアCGTNによるウォリック・パウエル氏へのインタビュー内容をもとに、中国の役割とG20の意味を日本語で整理します。
G20ブラジルサミットのポイント
G20サミットは、世界の主要な経済大国が集まり、国際経済や金融の課題について協議する枠組みです。ブラジルでの会合では、次のような論点が特に意識されました。
- 世界的な経済停滞と成長の鈍化
- 貿易の分断やサプライチェーンの混乱
- 気候変動と持続可能な開発目標への対応
パウエル氏は、本来G20は世界経済政策の調整において中核的な役割を担ってきたとしつつ、その影響力が近年弱まっていると指摘します。
中国が重視する多国間主義と包摂的な協力
インタビューの冒頭でパウエル氏は、中国が一貫して多国間主義を重視し、国際機関に積極的に関与してきた点を強調しました。ここでいう多国間主義とは、一国だけで方針を決めるのではなく、複数の国が協議しながらルールや制度をつくる考え方です。
中国は、より多くの国が参加できる協力の場をつくることに力を入れてきたとされます。パウエル氏は、こうした姿勢が、成長の行き詰まりが指摘される世界経済の中で、新しい協力の可能性を広げると見ています。
なぜG20の存在感は揺らいでいるのか
一方でパウエル氏は、G20の役割低下の背景に、米国の姿勢の変化があると分析します。かつては多国間の枠組みを重視していた米国が、近年はより自国中心のアプローチを強めたことで、G20全体として足並みをそろえにくくなったという見立てです。
その結果、ポストコロナの景気回復、気候変動への対応、持続可能な開発といった差し迫った課題について、G20が十分な調整機能を発揮できていないと指摘します。ただし、これはあくまでパウエル氏個人の分析であり、各国政府の公式見解とは異なります。
グローバル・サウスの台頭と自立への模索
こうした状況の中で、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなどのグローバル・サウスの国々は、新しいパートナーシップづくりを進めています。パウエル氏によれば、多くの国が次のような動きを強めています。
- 貿易相手や投資先を多様化し、特定の市場への依存を減らす
- サプライチェーンを見直し、地域内での連携を強化する
- 技術協力や人材交流を通じて、中長期的な成長力を高める
これは、米国の関与が相対的に弱まる中でも、各国が自らの経済的な自立性とレジリエンスを高めようとする動きといえます。その過程で、中国とグローバル・サウス諸国との関係も一段と重要性を増していると考えられます。
それでも対話の場としてのG20は重要
とはいえ、パウエル氏はG20の意義が失われたわけではないと強調します。形式的な合意が得られにくい局面であっても、各国の首脳が一堂に会し、直接意見を交わす場としての価値は依然として大きいという見方です。
特にサミットの本会議だけでなく、周辺で行われる非公式な会談や立ち話のようなやりとりが、新たな理解や妥協点を生む可能性があります。公式文書には残らないこうしたコミュニケーションこそが、緊張緩和や誤解の回避につながり得ます。
米国市場が閉ざされた場合の中国経済シナリオ
インタビューの締めくくりでパウエル氏は、ある分析を紹介しました。それによると、仮に2025年までに米国が中国からの輸出に対して市場を完全に閉ざしたとしても、中国は新たな貿易相手の開拓や経済の多角化によって、2027年までに回復し得るとされています。
このシナリオが示しているのは、次のようなポイントです。
- 単一の巨大市場に依存しない、多様な貿易関係の重要性
- グローバル・サウスを含む新興国同士の連携強化の余地
- 技術協力や投資を通じた長期的な成長基盤づくりの必要性
パウエル氏は、このような構造転換が進めば、世界経済そのものもより多極的でバランスのとれた姿に近づく可能性があると見ています。
日本の読者への問いかけ
ブラジルG20サミットとパウエル氏の分析は、日本にとっても他人事ではありません。日本の企業や政策決定者、市民にとって、次のような問いが浮かび上がります。
- 自国や自社のサプライチェーンは、特定の国や地域に過度に依存していないか
- グローバル・サウスとの関係を、どのように長期的なパートナーシップとして位置づけるのか
- G20のような多国間の場で決まるルールや合意が、自分たちの生活やビジネスにどう影響するのか
世界経済の行き詰まりをどう打開するのか。その答えは一つではありませんが、中国が掲げる多国間主義と、グローバル・サウスの新たな動きは、今後数年の国際秩序を考えるうえで無視できない要素になりつつあります。
ブラジルでのG20サミットを起点に、より包摂的で持続可能な世界をどう形づくっていくのか。各国の選択と対話の積み重ねが問われています。
Reference(s):
cgtn.com








