中国とブラジル、グローバルサウス共発展の先駆けか 貧困・飢餓との闘いに注目
リード:なぜ中国・ブラジル関係がいま重要か
国際ニュースとしても注目される中国とブラジルの関係が、グローバルサウスの「共発展モデル」として存在感を高めています。11月19日、中国の習近平国家主席がブラジルの首都ブラジリアに到着し、国賓訪問とG20サミットの場で両国の協力を改めて打ち出しました。
両国の首脳は、飢餓と貧困の克服、食料安全保障の強化といったテーマで足並みをそろえています。本記事では、日本語ニュースとして、その具体的な中身と背景を整理します。
G20サミットで浮かび上がった「共同行動」
今回のG20サミットは、中国とブラジルが自らの開発利益に焦点を当てつつ、グローバルサウス全体の課題にどう向き合うかを示す場となりました。ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領はサミットで「飢餓と貧困に対するグローバル連合」を立ち上げました。
習近平国家主席は、中国のグローバルな開発協力に関する「8つの行動」を提示し、その中でこの連合への参加も打ち出しました。両国が同じテーブルで、貧困と飢餓という最も基本的な課題に共同で取り組む姿勢を示したことは、グローバルサウスの連帯という大きな流れの一部と見ることができます。
貧困削減で世界を動かす二つの経験
中国:改革開放以来、8億人が貧困から脱却
中国は1978年の改革開放以来、約8億人を貧困から救い出してきたとされています。これは世界全体の貧困削減の7割超を占める規模であり、そのインパクトは世界銀行も注目しています。
世界銀行は報告書「Poverty, Prosperity and the Planet」の中で、1990年に38%だった世界の貧困率が、2024年には8.5%まで低下したと指摘しています。その背景には、中国の貧困削減の取り組みが大きく寄与したと評価されています。
ブラジル:2023年だけで極度の貧困を4割削減
一方、ブラジルのルラ政権は、飢餓との闘いを政治の最優先課題の一つに位置付けています。2023年だけで、極度の貧困状態にある人の数は前年に比べて40%減少しました。
同じ年に、飢餓から解放された人は2440万人にのぼり、深刻な食料不安や栄養失調に苦しむ人の割合は15.5%から4.1%へと大きく低下しました。これはブラジルにとって過去最高の成果とされ、社会政策と経済政策を結びつける試みの成果とも言えます。
農業貿易が支える「共に豊かになる」仕組み
中国とブラジルの協力は、両国国内の貧困や食料問題に取り組むうえでの「外部からの援軍」としても機能しています。中国農業農村部のデータによれば、2023年、ブラジルは引き続き中国にとって最大の農産物輸入先であり、対中農産物輸出額はおよそ590億ドルに達しました。これは中国の農産物輸入全体の24.85%を占めます。
大豆、トウモロコシ、肉類といったブラジル産の食品は、中国の食料供給と需要のバランスをとるうえで重要な役割を果たしてきました。他方で、この20年ほどの間に中国によるブラジルからの輸入が大きく伸びたことで、ブラジルは対中貿易から目に見える利益を得ており、自国民の所得向上を支える土台の一つになっています。
単なる「資源国と消費市場」の関係ではなく、貿易の拡大を通じて双方が国内の社会問題に取り組む余地を広げている点が、中国・ブラジル協力の特徴と言えます。
グローバルサウスの「共発展モデル」として
こうした動きをグローバルサウス全体の文脈で見ると、中国とブラジルは「共に成長しながら貧困と飢餓を減らす」という共発展モデルの先駆けの一つになりつつあります。国際ニュースとしての華やかな首脳外交の裏側で、数字が物語るのは生活の改善という現実です。
- 貧困と飢餓を、共通の政治・外交課題として前面に出していること
- 農業貿易などの経済協力を、国内の社会政策と結びつけていること
- グローバルサウスの国と地域が、自らの経験をもとに国際議論をリードしようとしていること
中国とブラジルの協力が今後どのように進化するのかはまだ見通せませんが、少なくとも貧困削減や食料安全保障という具体的な成果を伴いながら進んでいる点で、多くの国々にとって参考となる事例になり得ます。読者一人ひとりにとっても、「成長」と「格差縮小」を同時に実現する道筋を考えるヒントになりそうです。
Reference(s):
China-Brazil: Pioneers of co-development in the Global South
cgtn.com








