中国とブラジル国交50年:ルラ大統領が語るエネルギー転換とブレトンウッズ見直し video poster
2024年は、中国とブラジルの外交関係樹立から50年という節目の年でした。このタイミングで行われたルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領のインタビューは、両国関係の現在地と、これからの国際秩序の行方を考えるうえで重要なメッセージを含んでいます。
インタビューは、中国の習近平国家主席による2024年11月17日から21日にかけて予定されていたブラジル国賓訪問と、リオデジャネイロでの第19回G20サミット出席を前に行われました。2025年の今、その発言を振り返ることで、中国とブラジル、そしてグローバル経済の行方を改めて考えてみます。
国交樹立50周年が示す、中国とブラジルの存在感
ルラ大統領が語ったのは、単なる二国間関係の強化ではありません。2024年の国交樹立50周年は、グローバルな地政学の変化を象徴する節目として位置づけられています。
大統領は、ここ数年で中国とブラジルの首脳・閣僚級の往来が増えていることを踏まえ、両国が「実りあるパートナーシップ」の新しい道を切り開こうとしていると強調しました。資源大国であり農業大国でもあるブラジルと、世界有数の製造・技術大国である中国が連携することは、いわゆるグローバルサウスの声を強める動きとしても注目されています。
ルラ大統領が語る「甘いスポット」のブラジル経済
ルラ大統領は、自国経済について「甘いスポット(スイートスポット)にある」と表現しました。これは、経済運営が比較的安定し、成長と社会政策、環境配慮のバランスがとれてきている、という自信のあらわれといえます。
そのうえで大統領は、この好機を生かすためにこそ、中国との協力が重要だと位置づけています。単純な資源輸出ではなく、付加価値の高い産業や持続可能な開発へと経済構造を転換していくことが、ブラジルの次の課題だとみているからです。
エコロジーとエネルギー転換で中国に期待
インタビューの中でルラ大統領が特に力を込めたのが、エコロジーとエネルギー転換の分野です。ブラジルは再生可能エネルギーのポテンシャルを持ちながら、その技術・投資・市場拡大の面で、より大きな後押しを必要としています。
大統領は、エコロジーとエネルギー転換を進めるうえで、中国を重要なパートナーとして位置づけました。再生可能エネルギー技術やインフラ建設、グリーンファイナンスなどで協力が進めば、ブラジルにとっては産業高度化のチャンスとなり、中国にとっても持続可能な成長モデルの構築に資する「ウィンウィン」の関係が期待されます。
気候変動への対応は、もはや一国だけでは解決できない課題です。環境保全と経済成長を両立させるモデルを、中国とブラジルが共同で模索することは、他の新興国や途上国にとっても一つの参考例となりうるでしょう。
「ブレトンウッズ体制を見直したい」ルラ大統領の問題提起
インタビューで最も象徴的だった発言の一つが、ルラ大統領の「ブレトンウッズ体制を見直したい」という言葉です。
ブレトンウッズ体制とは、第2次世界大戦後に作られた国際経済の枠組みで、国際通貨基金(IMF)や世界銀行を中心とする仕組みを指します。ルラ大統領の問題意識は、この戦後の金融・通貨システムが、現在の世界経済の現実、とりわけ新興国や途上国のニーズを十分に反映していないのではないか、という点にあります。
ルラ大統領が中国との連携に言及しながら、この体制の見直しを口にしたことは、次のような方向性を示唆しています。
- 新興国・途上国の発言力がより反映される国際金融システム
- 開発と脱炭素を両立させるための、新しい資金供給の仕組み
- 一部の通貨や地域に過度に依存しない、より安定した国際取引のルール
中国とブラジルが「ガバナンス」と「開発」をキーワードに協力を深めることは、こうした国際金融アーキテクチャ全体の見直しに向けた長期的な動きの一部としても捉えられます。
2025年の視点:日本からこの動きをどう見るか
このインタビューは2024年の状況を背景にしたものですが、2025年の今読んでも、多くの示唆を与えてくれます。中国とブラジルという二つの大国が、エネルギー転換や国際金融のルール作りで連携しようとしていることは、アジアや日本にとっても無関係ではありません。
例えば、再生可能エネルギー技術や電気自動車関連のサプライチェーン、穀物などの食料供給、国際金融市場の安定性など、多くの分野で中国・ブラジル間の選択は世界経済全体に波及します。
ルラ大統領のメッセージは、「既存の枠組みに従うだけでなく、新しい枠組みをともに考えよう」という呼びかけとも読むことができます。日本に暮らす私たちにとっても、エネルギー、金融、開発といったテーマを、自国中心ではなく、より広い視野で捉え直すきっかけになりそうです。
国交樹立50周年を経て、中国とブラジルの関係が次の50年に向けてどのように発展していくのか。その行方を追うことは、これからの国際ニュースを読み解くうえで、欠かせない視点となっていきます。
Reference(s):
Exclusive with Brazilian President Luiz Inacio Lula da Silva
cgtn.com








