第2回CISCE、中国はどうやって世界のサプライチェーン安定に貢献しているのか
世界の貿易・投資を取り巻く不確実性が高まるなか、11月末に北京で開かれた第2回中国国際サプライチェーン博覧会(CISCE)が注目を集めました。中国が世界のサプライチェーン安定にどう貢献しようとしているのか、そのポイントを国際ニュースの視点から整理します。
第2回CISCEとは?――テーマは「つながる世界、共通の未来」
中国国際サプライチェーン博覧会(CISCE)は、サプライチェーンと産業チェーンに特化した新しいタイプの国際見本市です。第2回となる今回は、北京で5日間にわたり「Connecting the World for a Shared Future(世界をつないで共通の未来へ)」をテーマに開催されました。
狙いは、世界のサプライチェーンや産業システムの安定した運営を支え、リスクや混乱にどう備えるかについて、中国と各国の企業が対話し、協力するためのプラットフォームをつくることです。中国企業だけでなく海外企業も参加し、資源配分の工夫やネットワークづくりを通じて、より強靭で効率的なサプライチェーン戦略を模索する場となりました。
なぜ今、サプライチェーン博覧会が注目されるのか
背景には、世界のサプライチェーンを揺さぶる複数の要因があります。
- 不透明な地政学情勢
- 通商保護主義の広がり
- 海上輸送の混乱リスク
- 新技術や人工知能(AI)の急速な進展
こうした要因は、貿易構造や産業地図、そしてサプライチェーンの形そのものを変えつつあります。そのなかでCISCEは、マイナスの影響を和らげ、より「開かれたがリスクに強い」サプライチェーンをどう構築するかを議論する場として位置づけられています。
600社超・100超の国と地域が参加
今回のCISCEには、100を超える国と地域から600社以上が参加しました。出展企業のうち、海外企業は全体の約32%を占め、前年の26%から増加しています。
特に、アメリカ、ヨーロッパ、日本などからの参加企業が前回より大きく増えたとされ、中国市場への関心と、中国企業とのサプライチェーン連携を強めたいという意欲がうかがえます。また、中国はグローバル・サウス諸国のサプライチェーン上の地位や競争力を高める狙いから、アフリカ企業にも招待を広げました。
規模の大小を問わず企業が一堂に会し、上流(原材料・部品)から中流(加工・組立)、下流(販売・サービス)までのプレーヤーをつなぐ「場」を提供することが、CISCEの大きな特徴です。
注目の6つの産業チェーンと新技術
会場では、次のような6つの主要な産業チェーンが軸となりました。
- 先進製造業
- デジタル技術
- グリーン農業
- クリーンエネルギー
- スマートカーやヘルスケアなど「健康・スマート」関連分野
- サプライチェーン関連サービス
70点を超える革新的な製品やサービスが紹介され、中国企業の技術や公共財としての製品・サービスを世界につなぐ場にもなりました。中央部の湖北省は「主賓省」として参加し、国際企業との間で、より強固なサプライチェーン構築を目指す姿勢を打ち出しています。
クリーンエネルギーやデジタル技術、スマートカー、グリーン農業といった分野は、世界的にもサプライチェーンの再編が進む最前線です。ここでどのようなパートナーシップが組まれるかは、今後の産業競争力にも直結していきます。
中国の産業基盤と「デカップリング」の現実性
中国は、国連から「全産業分類がそろった唯一の国」とされる、極めて幅広い産業体系を持つ国だと紹介されています。そのため、世界の産業サプライチェーンから中国を切り離すことは現実的なのか、という問いが国際的な議論にもなっています。
中国側は、自国の強みとして、次のような点を挙げています。
- 全国に張り巡らされた物流インフラ
- 高度な技能を持つ技術者・工場労働者
- 先進的な工業インフラと生産能力
- 国際貿易・投資、技術移転や留学・研修の受け入れを通じた、世界経済への継続的な貢献
こうした条件を背景に、「世界第2の経済規模を持つ国を特定の産業から切り離せば、グローバルなビジネス・エコシステム全体に直接的な影響が及ぶ」という見方が示されています。サプライチェーンが高度に相互依存している以上、一部の「デカップリング(切り離し)」は、別の部分で新たなコストやリスクを生む可能性がある、という視点です。
日本とグローバル・サウスへの示唆
CISCEが示すメッセージは、日本を含む世界の企業にも無関係ではありません。とくに次のような点は、日本企業や日本の読者にとっても考えるヒントになります。
- サプライチェーンを「一国依存」ではなく、多層的なネットワークとしてどう設計し直すか
- クリーンエネルギーやデジタル技術など、再編が進む分野で中国企業やグローバル・サウスの企業とどう連携するか
- 湖北省のように、地域レベルでの連携が新たなビジネス機会につながる可能性
グローバル・サウス諸国にとっては、中国が用意するこうした場を通じて、自国がサプライチェーンの「周辺」ではなく、より付加価値の高い部分にどう参入していくかが問われています。
これから問われる「つながり方」
世界のサプライチェーンは、一本の鎖というより、複雑に編み込まれたネットワークになっています。そのため、ある一つのチェーンが途絶すれば、ネットワーク全体が傷つきかねません。
今回のCISCEは、中国がその中心的なハブの一つとして、開かれたサプライチェーンの維持と安定化に貢献しようとしている姿を映し出しました。同時に、各国・各企業に対しても、「緊張が高まる時代に、どのような形でつながり続けるのか」という問いを投げかけています。
地政学リスクと技術革新が同時進行する2025年、サプライチェーンをめぐる議論は、今後も国際ニュースの重要テーマであり続けそうです。
Reference(s):
2nd CISCE: China contributes to the global supply chain stability
cgtn.com








