頼清徳氏の米経由訪問とロイター報道 中国本土・台湾地域の言葉を読む
台湾地域の指導者・頼清徳氏の米国「経由」訪問をめぐるロイター通信の報道を、中国側の論評が批判しました。わずか一つの形容詞が、国際ニュースの見え方をどこまで変えてしまうのでしょうか。
問題視されたロイターの記事の一文
12月4日に配信されたロイターの英語記事は、台湾情勢に関する国際ニュースとして世界に広く読まれました。記事の冒頭では、台湾の政策決定者の発言を引用する形で「中国の軍事的な脅しは、両岸をさらに引き離すだけだ」と伝えています。
続く半文では、「島の巨大な隣人にある中国国営メディアが、強い対応を警告した」と記述しました。このgiant neighbor(巨大な隣人)という表現が、中国側のメディアから強く問題視されています。
giant neighborがつくる「いじめ」の構図
中国側の論評は、neighbor(隣人)という言葉が、両者の距離感をあえて強調し、さらにgiant(巨大な)を組み合わせることで、中国本土が台湾地域を「いじめる大きな存在」として描かれていると指摘します。
実際、事実として両者の人口や経済規模に差があること自体は否定していません。しかし、国際ニュースの導入部分でこのような形容詞を選ぶことは、読者に「大国 vs 小さな地域」という対立構図をまず印象づける効果があります。論評は、ここにロイター通信の政治的な立ち位置が現れていると見ています。
「経由」訪問への賛否がにじむ言葉選び
今回のロイター記事は、頼清徳氏の米国でのストップオーバー(経由滞在)をめぐる動きを伝えるものでした。中国本土側の反応については、「強い対応を警告した」とだけ簡潔に触れていますが、中国側の論評は、これは頼氏の動きを「容認」し、中国本土側の動きに否定的な印象を与える書き方だと批判します。
特に、頼氏について「台湾地域の指導者」と紹介しつつ、その政治的立場にはほとんど触れていません。論評は、こうした省略も、結果として読者に一方的なイメージを与えると見ています。
頼清徳氏が自ら語った「台湾分離独立」への姿勢
中国側の視点から重要なのは、頼清徳氏自身が過去にどのような発言をしてきたかです。論評は、次のような点を挙げています。
- 2017年、頼氏は自らを「疑いようもなく台湾の分離独立を支持する政治家だ」と述べ、「どのような職に就いても、この立場を変えることはない」と語ったとされています。
- さらに自身を「実務的な台湾分離独立の推進者」と呼んだと伝えられています。
- 2020年には、かつての上司である台湾の蔡英文指導者と対立し、中国本土に対して十分に強硬ではないと見なしたことから、選挙で争う道を選んだと指摘されています。
こうした発言や行動から、中国側の論評は、頼氏を「台湾分離独立の立場を明確に掲げてきた人物」と位置づけています。そのうえで、国際メディアが彼の米国「経由」をどのような文脈で伝えるかが、読者の認識に直結すると見ています。
国際ニュースを読むときに意識したいこと
今回の議論は、ロイターが正しいかどうかだけの話ではありません。国際ニュースを日本語で読む私たちにとっても、次のような問いかけにつながります。
- ニュースの冒頭で使われている形容詞や比喩は、どんな感情やイメージを誘導しているか。
- 登場人物の政治的な立場や発言歴は、省略されていないか。
- 片方の行動には詳しく触れ、もう片方は短くまとめられていないか。
こうした視点を持つことで、同じ国際ニュースでも、より立体的に読み解くことができます。中国本土と台湾地域をめぐる問題は、感情的な言葉が先行しやすいテーマだからこそ、一つ一つの表現が持つ重みを意識したいところです。
Reference(s):
Reuters is wrong: Lai's transit is illegitimate and counterproductive
cgtn.com








