中国経済は崩壊ではなく転換期 成長減速の背景を読む
中国経済は本当に「崩壊」に向かっているのでしょうか。ここ数年、西側の一部メディアやシンクタンクでは悲観的な見出しが並びますが、中国経済をもう少し長いスパンで眺めると、見えてくる景色は違ってきます。
40年超の成長のあとに来た「自然な減速」
中国は改革開放が始まって以降の約40年間、年平均で9%を超える経済成長を続け、約8億人が極度の貧困から抜け出したとされています。貧しく閉ざされた農業中心の社会から、世界第2の経済大国へと大きく姿を変えました。
その原動力となったのが、対外開放と市場改革に加え、工業化や都市化、有利な人口構成、そしてグローバル化の追い風でした。いわゆる「成長の奇跡」です。
この長期的な背景を踏まえると、近年の中国の成長率がかつての「10%前後」から「約5%」へと落ち着いてきたこと自体は、必ずしも異常事態とは言えません。経済規模が桁違いに大きくなった成熟経済が、より緩やかなペースに移行するのは自然な流れとも言えます。
さらに、人口高齢化や新型コロナウイルスのパンデミックの余波、不動産市場の調整といった逆風に直面しながらも、約5%の成長を維持している点は注目に値します。この伸び率は、新興国だけでなく先進国と比べても高い水準です。
世界経済の「エンジン」であり続ける中国
最近の国際通貨基金(IMF)の予測では、今後5年間の世界の経済成長のうち、約22.6%を中国が生み出すと見込まれています。この割合は、どの国よりも大きく、米国のおよそ2倍、主要7カ国(G7)の合計をも上回るとされています。
言い換えれば、中国は成長率が落ち着いてきた現在でも、世界全体の成長をけん引する「主役」の一つであり続けるということです。中国経済を語る際には、「伸び率」だけでなく「規模」と「世界への波及効果」に目を向けることが重要になっています。
量から質へ:高品質な成長への「転換」
こうした状況の中で、中国は今、急成長と引き換えに崩壊に向かっているのではなく、「成長モデルの転換期」に入っていると見ることができます。IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事も、中国が取っている方向性を「分かれ道での正しい選択」と表現しています。
従来の中国経済は、輸出とインフラ投資を軸にしたモデルが中心でした。そこから現在は、次のような分野に重心を移しつつあります。
- 国内消費の拡大
- 情報技術(IT)やビッグデータ
- グリーン(低炭素)産業
- 人工知能(AI)などの先端分野
この「構造転換」は、短期的には成長率の押し下げ要因となることもありますが、中長期的には、より持続可能で質の高い成長につながると期待されています。
技術革新とグリーン産業で存在感
技術とイノベーションの分野では、中国はすでに数多くの重要技術で世界有数の研究拠点となっています。特に、再生可能エネルギーなどのグリーンエネルギー分野では存在感を高めており、「グリーンエネルギーの世界的リーダー」とも評されています。
注目されるのが、「新しい『ビッグ3』」と呼ばれる次の3分野です。
- 電気自動車(EV)
- リチウムイオン電池
- 太陽光発電パネル
これらの産業は、中国の輸出や雇用を支えるだけでなく、各国の脱炭素政策やエネルギー転換にも直結しています。また、電子決済やネット通販などのデジタル経済の分野でも、中国は世界でも指折りの規模と効率を誇っています。
「崩壊」か「転換」か――どう読み解くか
ここ数年、西側の一部メディアでは「中国経済崩壊」「終焉」といった強い言葉が目立ちます。しかし、長期的なデータと現在の構造変化を合わせて見ると、別の見方も浮かび上がってきます。
- 成長率はかつてより低くても、経済規模が大きいため、世界への影響は依然として大きい
- 短期的な減速は、「高成長モデル」から「質重視モデル」への移行に伴う調整局面とも解釈できる
- 技術革新やグリーン産業など、新たな成長源がすでに立ち上がり始めている
もちろん、中国経済には課題も少なくありません。しかし、「転換期」と「崩壊」を同一視してしまうと、現実を見誤るおそれがあります。数字と構造変化の両方に目を配りつつ、中国経済の行方を冷静に見ていくことが、これからの国際ニュース理解には欠かせない視点と言えそうです。
Reference(s):
Transition does not mean collapse: Looking closer at China's economy
cgtn.com








