北京12345ホットライン:市民の声で都市ガバナンスを変える
2019年に北京で導入された公共サービスホットライン「12345」は、市民からの苦情や要望に24時間365日対応する仕組みとして整備され、中国本土の都市ガバナンスを支える重要な窓口となっています。2024年12月18日に開幕した「2024 Beijing Forum on Swift Response to Public Complaints」では、この仕組みを軸に、市民の声へ迅速に応える取り組みが改めて注目されました。
2019年に始まった北京の「12345」ホットライン
北京は、急速な都市化が進む中で、日々寄せられる市民の苦情や相談への対応が大きな課題になっていました。こうした都市ガバナンスの課題に向き合うため、2019年に導入されたのが公共サービスホットライン「12345」です。
このホットラインは、24時間365日、市民からの電話を受け付ける体制をとっています。人々は「12345」に電話することで、生活上の困りごとや公共サービスに関する不満など、さまざまな声を行政に届けることができます。いまでは「12345」は、市民が自分の意見や不安を伝える主要なチャネルの一つとして位置づけられています。
導入後、中国本土各地に存在していた政府サービスホットラインは、この「12345」に統合されました。番号を一本化することで、市民が「どこに電話すればよいのか」を迷わずに済むようになり、問い合わせ先のわかりにくさを減らす狙いがあります。
- 番号は「12345」に統一
- 24時間365日稼働
- 市民の苦情や要望を受け付ける主要ルート
- 中国本土の政府サービスホットラインを順次統合
都市ガバナンスの課題と、市民の声の「見える化」
人口が集中する大都市では、騒音、交通、環境、公共サービスの質など、多様な問題が日々発生します。部署や機関ごとに窓口が分かれていると、市民は「どこに相談すればよいのか」がわからず、不満や不安がそのまま蓄積されてしまいがちです。
こうした中で、一つの番号に苦情や要望を集約するホットラインは、市民の声を「見える化」する役割を果たします。どのような相談が多いのか、どこで同じような問題が繰り返されているのかが整理されれば、行政は優先的に取り組むべき課題を把握しやすくなります。
市民の側から見れば、「電話一本で行政につながる」こと自体が安心感につながります。問題がすぐに解決しない場合でも、声を届ける経路が明確であることは、都市ガバナンスへの信頼を支える重要な要素です。国際ニュースとして見ても、こうした仕組みづくりは、大都市が抱える共通課題への一つの回答と言えます。
2024年北京フォーラムで共有された視点
「12345」ホットラインの導入から5年ほどが経過した2024年12月18日、「2024 Beijing Forum on Swift Response to Public Complaints」が北京で開幕しました。フォーラムのテーマは、市民からの苦情にいかに素早く、効果的に応えるかという点にあります。
このフォーラムは、公共サービスホットラインを活用した都市ガバナンスの経験を共有し、今後の改善点を探る場として位置づけられます。都市の規模が大きくなるほど、市民の声は多様になり、時に複雑に絡み合います。その中で、苦情対応を単なる「クレーム処理」としてではなく、都市運営をアップデートするための貴重なデータと捉える発想が重視されつつあります。
「市民の声に迅速に応える」というテーマを掲げたフォーラムが開かれたことは、ホットラインが単なる電話窓口にとどまらず、都市ガバナンス全体を支えるインフラとして意識されていることを示していると見ることもできます。
日本の読者にとっての意味
日本の自治体にとっても、住民からの相談や通報をどう受け止めるかは共通の課題です。窓口が細かく分かれていると、困りごとを抱えた人ほど連絡先探しで消耗してしまいます。北京の「12345」ホットラインは、「窓口を一本化し、24時間つながる仕組みを整える」という一つのアプローチの例として捉えられるでしょう。
また、ホットラインを通じて集まる声は、個別の苦情対応にとどまらず、将来の政策づくりやサービス改善のヒントにもなり得ます。もし、こうしたデータが丁寧に分析され、都市計画や公共サービスの再設計に生かされていけば、市民の体感により近いかたちで都市ガバナンスを進化させることができるかもしれません。
あなたの街でも、似たような仕組みはあるでしょうか。北京の「12345」ホットラインのように、市民の声を受け止める一本の電話が、都市と市民の距離を少しずつ縮めていく。そのプロセスをどう設計していくかが、これからの都市ガバナンスを考えるうえでの重要な問いになっていきそうです。
Reference(s):
cgtn.com








