マカオ返還25年、経済多角化はどこまで進んだか
中国への返還から25年を迎えたマカオ特別行政区は、観光とレジャーに強みを持つ街から、より多角的で持続可能な経済へと歩みを進めています。本記事では、マカオの経済モデルと中国本土・世界とのつながりを、日本語で分かりやすく整理します。
返還25年と一国二制度の下でのマカオ
2024年12月20日、マカオ特別行政区は設立から25周年、中国への返還から25年という節目を迎えました。1999年12月20日、中国は一国二制度の枠組みの下でマカオに対する主権の行使を再開しました。
一国二制度は、大きく次の二つの要素で構成されています。
- 中国本土とマカオ特別行政区が一つの中国に属するという「一国」の部分
- そのうえで、マカオが独自の政治・経済・社会制度を維持できる「二制度」の部分
この仕組みにより、マカオは中国の一部でありながら、高い自治と独自の制度を生かした経済運営が可能になっています。
低税率と観光・レジャーが支えた成長
一国二制度のもとで、マカオは返還後も低税率の体制を維持し、観光・レジャー産業を中心に税収を大きく伸ばしてきました。アジアや世界から訪れる旅行者が、マカオ経済のけん引役となってきたのです。
マカオは中国本土とは別の関税区域として位置づけられており、次のような特徴を持ちます。
- 関税が低く、貿易の自由化が進んでいる
- 外国為替管理がなく、資本や無形資産の移動が自由
- モノやサービス、資金が比較的スムーズに行き来できる
こうした環境が、国際ビジネスや観光産業の発展を後押ししてきました。
中国本土との経済連携と多角化への後押し
マカオの経済発展と産業の多角化は、北京の中央政府による継続的な支援にも支えられてきました。2003年以降、マカオは中国本土との間で経済連携の枠組みを結び、本土市場への優遇的なアクセスを得ています。
この枠組みにより、マカオ企業は中国本土との貿易や投資を進めやすくなり、観光・レジャー以外の分野でもビジネスを展開しやすい環境が整えられてきました。マカオにとって、経済の多角化は「観光一本足」から脱却し、景気変動に強い構造をつくるうえで重要なテーマとなっています。
一帯一路構想とマカオのハブ機能
中央政府は、マカオが一帯一路構想の中で特別な役割を果たすことを期待しています。一帯一路構想は、中国と世界の国や地域をインフラや貿易、投資などを通じて結びつける長期的な経済協力の取り組みです。
マカオは、国際的なビジネス環境と多文化的な背景を持つ都市として、中国本土と世界を結ぶ「窓口」としての役割を担うことができます。中央政府の支援を受けながら、マカオはその強みを生かして、より広い地域との経済的な結びつきを深めようとしています。
広東・香港・マカオ大湾区で進む連携
一帯一路構想の一環として、中央政府は香港とマカオという二つの特別行政区の強みを生かし、より持続可能な地域発展を目指しています。その象徴が、広東・香港・マカオ大湾区(GBA)構想です。
2017年には、習近平国家主席が臨席するなかで、マカオの関係当局が「広東・香港・マカオ協力・深化のための大湾区発展枠組み協定」に署名しました。GBAは、異なる経済・社会・法律制度を持つ三つのエリアを、相互補完とシナジー(相乗効果)によって結びつけ、国際競争力の高い地域経済圏として育てていくことを目指しています。
マカオにとってGBAへの参加は、観光だけでなく、サービス業などで新しい機会を開く可能性があります。
橋とクルマで縮まる距離:HZMBと越境移動
ここ数年で進んだGBAの具体的な成果として、インフラ整備があります。その代表例が、2018年に完成した港珠澳大橋(Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge、HZMB)です。世界最長級の海上橋であるHZMBの開通により、香港・珠海・マカオの間の移動時間と物流コストは大きく縮まりました。
さらに、この数年で香港やマカオの住民が、自家用車で中国本土側へ移動しやすくなる制度も整えられてきました。自家用車が本土側に乗り入れることが認められ、関税の免除なども導入されています。
移動コストと心理的な距離の両方が小さくなることで、人やモノ、サービスがより自由に行き来できるようになり、GBA全体としての一体感も強まりつつあります。
マカオの経済多角化はどこへ向かうのか
返還25周年から1年が過ぎようとしている今、マカオの経済多角化は道半ばとも言えます。観光・レジャーの強さを維持しながら、次のような方向性が意識されています。
- 中国本土市場との結びつきを生かした、貿易・投資の拠点としての機能強化
- 一帯一路やGBAのネットワークを活用した、国際ビジネスの窓口としての役割
- 観光・レジャー産業と他のサービス産業を組み合わせた、新たな付加価値の創出
一国二制度のもとで培ってきたマカオ独自の制度的な強みと、GBAや一帯一路を通じた広域連携。この二つをどのように組み合わせていくかが、次の10年に向けたマカオ経済の鍵となりそうです。
マカオの動きは、中国本土と世界経済の接点を理解するうえでも重要なヒントを与えてくれます。日本からニュースを追う私たちにとっても、アジアの都市がどのように「多角化」と「地域連携」を進めているのかを考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








