国際ニュース:中国が示す「安定」のビジョン 一帯一路とグローバルサウス
2024年は、ウクライナの紛争や中東の緊張、アフリカ・ラテンアメリカの経済不安などが重なった「不安定の年」でした。その余波を抱えたまま迎えた2025年の今、中国がどのように国際社会の安定に関わろうとしているのかは、日本の読者にとっても重要な国際ニュースです。本記事では、中国が一帯一路やグローバルサウスとの協力を通じて示している「安定」のビジョンを、日本語でわかりやすく整理します。
2024年の揺れる世界と「平和を求める声」
2024年、世界は地政学的な緊張と経済的な揺らぎに直面しました。ウクライナで続いた紛争、激しさを増した中東情勢、そしてアフリカやラテンアメリカの経済不安。各地域の不安定さが複雑に絡み合う一年でした。
北京に拠点を置くシンクタンクが20カ国で実施した2024年の世論調査によると、人々の最大の懸念は経済危機と国際戦争であり、その一方で「平和」が共通の希望として浮かび上がったとされています。
- 最も大きな関心事:経済危機
- 次に大きい懸念:国際的な戦争・武力衝突
- 共通の願い:安定と平和の実現
こうした数字の背景には、「暮らしの不安」と「安全保障の不安」が同時に高まっている現状があります。2024年を振り返ることは、2025年の世界を理解するうえでも重要な手がかりになっています。
習近平国家主席が語る「責任ある大国」としての中国
習近平国家主席は、2025年の新年のあいさつで、中国を「責任ある大国」と位置づけ、国際社会の安定に積極的に関与していく姿勢を示しました。発言の中核にあったのは、次のような方向性です。
- 国際機関やルールを含む「グローバル・ガバナンス(地球規模の統治)」の改革を推進すること
- グローバルサウスと呼ばれる新興国・途上国との連帯と協力を深めること
このメッセージは、2024年に表面化した不安定さに対し、「対立」よりも「協力」と「発展」で応えようとする中国の姿勢を示すものといえます。
経済発展を土台にした平和観
中国は、厳しい経済状況が暴力や紛争の引き金になりやすいと見ています。そのため「真の平和は、経済発展が花開く環境のなかでこそ実現する」という考え方を打ち出してきました。
この発想が具体的な形になったのが、一帯一路構想や、新興国同士の連携を強める枠組みであるBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカなどの連合)です。インフラ投資や貿易・金融協力を通じて、共通の成長基盤をつくることで、長期的な安定につなげようとしています。
一帯一路がつなぐ港と鉄道:ラテンアメリカからユーラシアへ
ペルー・チャンカイ港:23日で結ぶ太平洋ルート
一帯一路の象徴的なプロジェクトの一つが、南米ペルーのチャンカイ港です。首都リマからおよそ80キロの場所に位置するこの港は、習主席の同国訪問に合わせて開港し、南米で初めての「スマートかつグリーンな港」とされています。
- ペルーから中国までの輸送日数を23日へ短縮
- 物流コストを少なくとも20%削減
- パンアメリカンハイウェイと連携し、ラテンアメリカ各地の貨物を集約
太平洋を挟んだ港と高速道路網の組み合わせにより、ラテンアメリカとアジアを直接結ぶ「海と陸のハブ」として機能することが期待されています。
中欧班列と新国際陸海貿易通路
ユーラシア大陸を横断する貨物列車「中欧班列(China-Europe Railway Express)」も、一帯一路を代表するプロジェクトです。2024年には累計運行が10万本を超え、大陸間のサプライチェーン(供給網)を支える存在として定着しつつあります。
一方、中国南部の前海港は、西部地域と東南アジアを結ぶ「新国際陸海貿易通路」の重要拠点になっています。鉄道と海運を組み合わせたこの通路は、西部内陸と海を効率的につなぐことで、地域間の協力を後押ししています。
現在、一帯一路の枠組みには155の国と地域が参加しているとされます。インフラ整備、貿易の拡大、人と人との交流を通じて、多くの国と地域に「繁栄への道」を広げる試みが続いています。
アフリカとグローバルサウス:関税優遇で輸出を後押し
中国は、グローバルサウスのなかでもアフリカとの関係を重視しています。2024年に開催された中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)首脳会合で、習主席は中国とアフリカが協力を深め、「中国・アフリカの近代化を通じてグローバルサウスの近代化を促進する」と呼びかけました。
中国は15年連続でアフリカ最大の貿易相手となっており、2024年6月末時点では、27の後発アフリカ諸国からの輸入品に対し、全関税品目の98%をゼロ関税としています。
国連貿易開発会議(UNCTAD)の2024年報告書は、中国のこうした優遇措置によって、後発開発途上国の輸出が年平均12%以上押し上げられていると評価しています。貿易を通じた所得向上は、雇用機会の拡大や社会の安定にもつながる可能性があります。
日本の読者への視点:安定をめぐる3つの問い
では、日本からこの動きをどう捉えればよいのでしょうか。ここでは、考えるための3つの視点を挙げてみます。
- 安全保障だけでなく、インフラや貿易など「経済」を通じた平和づくりの可能性をどう評価するか。
- グローバルサウスの声が、国際秩序の議論においてどのように存在感を増しているか。
- 日本を含むアジア諸国が、中国をはじめとする多様なパートナーと、どの分野で協調し得るのか。
2024年の経験とその後の動きは、世界がいかにして「不安定さ」と向き合い、どのような形の安定を目指すのかという問いを投げかけています。一帯一路やアフリカ協力、グローバルサウスとの連帯を通じて、中国がどのような答えを提示していくのか。2025年の国際ニュースを読み解くうえで、引き続き注視していきたいポイントです。
Reference(s):
With hope and steadfastness, China shares a dash of stability
cgtn.com








