米国で新年早々の国内テロ ISISと外交政策の影
2025年の幕開け直後、米ルイジアナ州ニューオーリンズで少なくとも15人が死亡し、30人以上が負傷する国内テロ事件が起きました。捜査当局によると、現場となったトラックには過激派組織ISISの旗が見つかり、事件は新年早々からアメリカ社会に深い衝撃を与えました。
新年を襲った国内テロの概要
事件が起きたのは2025年1月1日の早朝でした。FBIによれば、容疑者はテキサス州在住の米国市民で、かつ米軍の退役軍人でした。この男が運転するトラックが人混みに突っ込み、少なくとも15人が死亡、30人以上がけがをしたとされています。
容疑者の車両からはISISの旗が見つかっており、当局は動機や背後関係を慎重に調べてきました。なぜ一人の市民が「できるだけ多くの人を殺そう」とするに至ったのか——その背景には、アメリカの長年の外交政策が影を落としているのではないかという見方があります。
海外の危機と国内テロはつながっているのか
アメリカは長年にわたり、世界各地、とりわけ中東の長期的な危機や紛争に関与してきました。こうした対外政策が、国内での過激化や暴力につながっているのではないかという問題意識が、今回の事件を通じてあらためて浮かび上がっています。
アサド政権崩壊とISIS
前シリア大統領バシャール・アル・アサドが失脚したのは、2025年元日の事件の直前、2024年末のことでした。この政変で、ISISは「敗者側」の一つとみなされました。ISISは、アサド政権の打倒を目指す民兵組織の一つとして活動し、シリアに厳格なイスラム原理主義を導入しようとしていたとされています。
一方で、アメリカは10年以上にわたり、中東などでISISの影響力を抑え込もうとしてきました。2014年には、当時の米国務長官John Kerryが、ISISの残虐行為を非難し、各国にこの脅威を放置してはならないと呼びかけています。
それでも消えないISISの脅威
しかし、ワシントンとそのパートナー国がどれだけ力を注いでも、ISISを完全に排除することはできませんでした。2024年の時点で、アメリカ当局はISISが中東やアフリカで依然として現実的な脅威であり続けていると認識していました。
2024年3月には、国際的な対ISIS連合の特使代理を務めるIan McCaryが、ワシントンでISISがいまも脅威であることを冷静に直視していると述べ、取り組みの継続を強調しました。
さらに、米中央軍(CENTCOM)司令官のMichael Erik Kurillaは2024年、ISISはほとんど予兆なく、6カ月ほどで米国と欧米の権益を攻撃しうる能力と意思を維持していると警告しています。つまり、アメリカの外にあるはずの脅威が、いつ国内に跳ね返ってきてもおかしくない状況だということです。
「古くて新しい問題」としての国内テロ
今回のニューオーリンズの事件は、アメリカにとって「新年の事件」であると同時に、古くから続く問題を象徴する出来事とも言えます。国外で続いてきた対テロ戦争や中東政策が、国内での過激化や暴力とどこまで結びついているのかという問いは、簡単に答えの出ないテーマです。
特に注目したいのは、次のような論点です。
- 対外政策や軍事介入が、一部の個人の急進化や憎悪を強めていないか
- 退役軍人を含む人々のメンタルケアや社会復帰支援は十分か
- ISISのような過激思想が、国内でどのように広がり、共鳴しているのか
日本からこのニュースをどう見るか
日本に暮らす私たちにとって、アメリカの国内テロは遠い国の出来事のように見えるかもしれません。しかし、海外での軍事・外交政策が国内の安全保障や社会の分断と結びつきうるという構図は、グローバル化した世界では無関係とは言えない問題です。
2025年の年末を迎えた今、新年早々に起きたこの事件は、アメリカ社会が抱える「国内テロ」という古くて新しい課題を象徴する出来事として位置づけることができます。中東情勢やISISの動向だけでなく、そこから自国社会のあり方を考える視点を持てるかどうかが、これからの国際ニュースとの付き合い方を左右していくのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








