王毅外相のアフリカ4カ国歴訪 中国・アフリカ関係とグローバルサウスのいま
2025年1月、中国の王毅外相がナミビア、コンゴ共和国、チャド、ナイジェリアの4カ国を歴訪しました。この中国とアフリカに関する国際ニュースは、中国・アフリカ関係の方向性だけでなく、グローバル・サウス全体の連携を考える上でも重要な動きとなりました。
歴訪の目的は、中国とアフリカの関係をより前向きな方向に進めることです。とくに2024年の中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)北京サミットの成果を具体的な協力へとつなげ、2025年を通じて関係を持続的かつ深く発展させることが重視されました。
王毅外相のアフリカ4カ国歴訪とは
王毅外相は2025年1月5〜11日にかけて、ナミビア、コンゴ共和国、チャド、ナイジェリアの4カ国を訪問しました。いずれもアフリカ南部・中部・西部の要所であり、地域の安定や経済成長において重要な役割を担う国々です。
今回の歴訪には、次のような狙いが込められていました。
- 中国・アフリカ関係を「より前向きな方向」に押し上げること
- 2024年FOCAC北京サミットの成果を具体的な協力へとつなげること
- グローバル・サウスにおける中国とアフリカの連携を一段と深めること
35年続く「年初のアフリカ訪問」が示すメッセージ
中国の外相が年初の初外遊先としてアフリカを選ぶのは、1991年から35年連続で続いている伝統です。王毅外相の今回の歴訪も、その一環として位置づけられます。
この慣行は、次のようなメッセージを持つものと受け止められています。
- アフリカを長期的な「重点パートナー」として位置づけていること
- 変化の大きい国際情勢の中で、グローバル・サウスとの連帯を重視していること
- 年初からハイレベルの対話を重ねることで、1年を通じた協力の方向性を共有すること
とりわけ2025年については、年初の時点で「共通の課題に対応しつつ、共通の成長を追求する」安定的で繁栄した1年にしていくという展望を示す意味合いがありました。
FOCAC北京サミットと「北京行動計画(2025〜2027年)」
中国とアフリカ諸国は、2024年に北京で中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)サミットを開催しました。この場では、2025〜2027年に向けた「北京行動計画」が採択されています。
王毅外相の今回の歴訪は、まさにこの行動計画の実施を後押しする役割を持ちます。中国はアフリカに対し、それぞれの国情に合った近代化の道を歩むことを支持しており、以下のような分野での協力が重視されています。
- インフラ、産業、デジタル分野を中心とした経済協力
- 気候変動対策や環境保護などの気候協力
- 多国間の枠組みを通じたグローバル・サウスの発言力強化
こうした枠組みを通じて、中国とアフリカは平和と安全保障、アフリカ大陸全体の経済統合、サプライチェーン(供給網)の安定、アジアとアフリカ両大陸の繁栄といったテーマでも連携を図っています。
中国はなぜアフリカの最大の商業パートナーなのか
中国は15年連続でアフリカの最大の商業パートナーとなっており、その間に多くの「目に見える成果」が積み上がってきました。とくに次のような分野で協力が進んでいます。
- 製造業やインフラ建設などの産業分野
- 物流・交通ネットワークの整備
- 医療や医薬品などのヘルスケア分野
- デジタル経済やICTといった新分野
- 農業の近代化や生産性向上
こうしたプロジェクトを支える柱が、技術移転、人材育成、そして各国の能力構築です。アフリカ側のニーズと中国側の経験・技術が補い合う「高い補完性」があるとされています。
グリーンエネルギーとデジタルがつなぐ新しい協力
今回の歴訪を含め、中国とアフリカの協力関係でとくに注目されるのが、エネルギーと環境、そしてデジタル分野です。
エネルギー分野では、次のような協力が「第一歩」として想定されています。
- 再生可能エネルギーを含むグリーン技術の導入と協力
- エネルギーインフラの整備と安定供給の支援
- 農業の近代化と食料安全保障に向けた支援
同時に、貿易の多様化や長期的で相互利益のある商取引の構築も重要なテーマです。新エネルギー、環境分野、技術革新といった領域で、中国製のグリーン関連製品や技術製品は「品質と価格のバランス」に強みがあるとされ、アフリカでの受け皿も広がっています。
グローバル・サウスと多国間協力の視点
中国とアフリカの結びつきは、個別の二国間関係にとどまらず、グローバル・サウス全体の発展や多国間協力のあり方にも関わっています。双方は、次のような共通課題に向き合おうとしています。
- 国連の「2030アジェンダ」が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の達成
- 平和と安全保障の強化、地域紛争の安定化
- アフリカ大陸全体の経済統合と域内市場の成長
- グローバルなサプライチェーンの安定性と多様化
こうした分野で、中国とアフリカは「ウィンウィンのパートナーシップ」と多国間の協力枠組みを通じて、共通の成長をめざしていると位置づけられます。
私たちが考えたい3つのポイント
王毅外相のアフリカ歴訪と、その背景にあるFOCACや一連の経済協力は、日本語で国際ニュースを追う読者にとっても、多くの示唆を与えるテーマです。整理すると、次の3点が重要な視点となります。
- 長期的なパートナーシップ
35年続く年初のアフリカ訪問の伝統は、短期的なプロジェクトではなく、長期的な友情と協力を重視する姿勢を示しています。 - 持続可能な発展とグリーン転換
新エネルギーや環境保護、気候協力といった分野での連携は、アフリカの発展と地球規模の課題解決を同時に進める試みとして位置づけられます。 - グローバル・サウスの連携
アジアとアフリカの経済協力や、多国間枠組みを通じた連携の強化は、国際秩序の中でグローバル・サウスの声をどのように反映させていくのかという問いとつながっています。
2025年の王毅外相歴訪は、中国・アフリカ関係の「いま」を映し出すと同時に、グローバル・サウスがどのような形で成長と協力の枠組みをつくっていくのかを考えるうえで、注目すべき出来事だったと言えます。今後も、こうした動きが国際社会や各地域の選択にどのような影響を与えるのか、落ち着いて見ていくことが求められます。
Reference(s):
Wang Yi's visit highlights China's support for Africa's growth
cgtn.com








