英財務相リーブスが中国訪問 経済逆風下の貿易ミッション
英財務相レイチェル・リーブス氏が、中国への貿易ミッションを開始しました。英国経済が逆風にさらされるなかでの訪問は、今後の英国と中国の経済関係、そして世界経済にどんな意味を持つのでしょうか。
経済の荒波の中で始まった中国訪問
今回の国際ニュースの主役は、就任して間もないイギリスの財務相リーブス氏です。リーブス氏は、北京と上海を3日間かけて訪問し、経済・金融分野での協力拡大を目指しています。
英国からは、イングランド銀行総裁アンドリュー・ベイリー氏、HSBCの会長、英国金融行為監督機構のトップも同行しており、ロンドンの金融界を代表する顔ぶれがそろう形となりました。
16年ぶり高水準の借入コストという現実
リーブス氏がロンドンを出発したタイミングで、英国の国債利回り、つまり政府の借入コストは16年ぶりの高水準に達しました。利払い費が膨らめば、その分だけ新たな政策に使えるお金は減ります。
リーブス氏は、今年10月の初めての予算案で、自ら定めた財政ルールの一部を調整しました。これは、新政権の「財政規律」を対外的に示す物差しでもあり、その枠の中でどこまで成長投資を行えるかが問われています。
縮む「財政の余地」
- 借入コストの上昇で、追加歳出の余地が小さくなっている
- 財政ルールを守ることが、かえって政策の自由度を狭める可能性もある
- 国内では、景気下支えと財政健全化のバランスへの不満や不安がくすぶっている
「鉄の財務相」路線とその副作用
リーブス氏は、かつての労働党政権で財務相を務めたゴードン・ブラウン氏のような「厳格な財政運営」をアピールしてきました。しかし、その硬さが政治的なリスクにもなりつつあります。
たとえば、年金生活者向けの冬季燃料手当の削減は、生活者の不安を高める措置として批判を受けています。また、企業が負担する国民保険料の引き上げは、雇用の伸びを抑え、企業コストを予想外に押し上げたと指摘されています。
さらに、財政方針の発表を年1回に限定する判断も、機動的な政策修正を難しくし、変化が激しい経済環境の中では弱点になりかねません。
トランプ氏再登場への警戒と中国との協力
こうした内政上の制約に加え、世界の注目はアメリカ大統領選挙の行方にも集まっています。ドナルド・トランプ氏のホワイトハウス復帰の可能性をめぐり、多くの国が新たな関税の応酬、いわゆる貿易戦争の再燃を警戒しています。
その中で、各国は同盟やパートナーシップを見直し、強化する動きを強めています。リーブス氏も、中国との長期的な経済関係を築くことで、英国経済の安定と成長の選択肢を増やしたい考えです。リーブス氏は、中国と「英国の国益にかなう長期的な経済関係を構築できる」との見方を示しています。
今回の訪問が意味するもの
今回の貿易ミッションは、単なる投資誘致や貿易額の拡大にとどまらず、以下のような意味を持つと考えられます。
- 英国にとって、中国との安定した経済関係を通じて、関税リスクや地政学リスクを分散する試み
- 金融分野での対話を通じ、ロンドンとアジアの金融センターとの連携を模索する動き
- 新政権の経済運営に対する不安を和らげるための「対外アピール」の側面
私たちがこの国際ニュースから考えたいこと
英国の財政ルール重視の姿勢と、その裏で求められる柔軟性。関税リスクが高まる世界で、中国をはじめとするパートナーとの関係をどう設計するか。これらは、英国だけでなく、日本を含む多くの国に共通するテーマでもあります。
リーブス財務相の中国訪問が、英国経済の舵取りと国際経済の力学にどのような影響を与えるのか。今後の交渉の中身と、その受け止め方を静かに追っていきたいニュースです。
Reference(s):
cgtn.com








